主催:国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)社会技術研究開発センター(RISTEX)
共催:情報通信政策フォーラム(ICPF)
日時:2022年3月2日(水曜日)14:00~16:00
形式:Zoomによるライブ配信
本記録の文責は山田肇にある。
最初に三つの講演が行われた。
- 内閣府・石田直美参事官は、民間に一定の裁量を与えて公共事業を実施し、成果に応じて支払い報酬額を増減するPFSの仕組みについて説明した。PFSは幅広い社会的課題の解決に適用できるとして、成果指標の明確化を行いながら、官民双方のニーズを踏まえて分野の拡大に取り組むとした。
- ケイスリー株式会社の幸地正樹代表取締役は、行政と共にSIBを案件化する中間支援組織の役割を説明した。また、中間支援組織による全体管理の下で成果を生み出す事業者には、長期的に柔軟に事業展開できるのに加えて、行政が保有し通常は入手できないデータが利用できるメリットがあるとした。
- 堺市役所産業政策課の藤田 力氏は、自治体でPFS/SIBを導入する際には、「本当にやる必要があるのか」という職員の疑問に答えていく努力が必要であるとした。そして、PFS/SIBを活用した事業を具体化するには、市民、首長、庁内、民間事業者、議会、メディア等のステークホルダーの理解醸成が必要であると強調した。
講演後、次のような意見交換があった。
- 自治体内での合意形成について議論があった。地域が抱える社会的問題の解決に取り組むのは自治体の責任であるとしたうえで、トップダウンとボトムアップの二つを組み合わせ、粘り強く関係者に説明していく必要性が指摘された。
- 事業者は企業だけとは限らず、発祥の英国などではNPOが役割を担う事例が多いとの紹介があった。NPOには体力的な問題もあるので、企業とMPOが手を取り合って取り組むのも一案であるとの考えが示された。
- 社会的問題に取り組む研究開発プロジェクトの成果をPFS/SIBとして実施する可能性について意見が交わされた。研究開発成果によって、その地域が求める成果が得られることが大切という結論になった。
- 事業者選定時に競争性を確保するには公募型プロポーザル方式による契約が適しているとの指摘があった。
- 公民連携の中でもPFS/SIBは成果指標に着目する手法であり、社会的問題の解決について成果指標が設定できる場合に適しているとの説明があった。