ZOOMセミナー「まちづくりのDX」

開催日時:9月6日火曜日 午後7時から最大1時間30分
開催方法:ZOOMセミナー
参加定員:100名
講演者:内山裕弥氏(国土交通省都市局都市政策課・課長補佐)
司会:山田 肇(ICPF理事長)

内山氏の講演資料はこちらにあります。
内山氏の講演の映像(一部)はこちらでご覧いただけます。

冒頭、内山氏は次のように講演した。

  • 都市政策を取り巻く潮流は、人口拡大期(拡大する都市へ対応するためのインフラ整備、開発コントロールによるスプロール化対策)から、人口減少・少子高齢化による縮退期(都市機能の拡散、中心市街地の空洞化等に対応するための都市構造へのアプローチ)へと変遷してきた。ポストコロナ時代には「人間中心の社会」を実現するための新たな政策展開が求められている。マクロとミクロ、ハードとソフトの両面からデジタル技術を活用して市民QoLを向上させる「サービス・アプローチ」の観点で、都市政策を推進する必要がある。
  • まちづくりのDX実現会議では、まちづくりDXを次のように定義した。単なる既存施策のデジタル化だけではなく、 「デジタル技術の活用により既存の仕組みを変革」 し、 「新たな価値創出又は課題解決」 を図ることで、 「生活の豊かさ」 を実現すること。この定義の下で、まちづくりDX原則、重点取組テーマ、まちづくりDXのビジョンを検討した。
  • まちづくり DX では 、 インターネットや IoT 、 AI 、デジタルツイン技術等を活用してまちづくりに関する 空間的 、 時間的 、 関係的制約を超えて 、従来の仕組みを変革していく観点 が重要である 。これを踏まえ、五点のまちづくりDX原則を設定した。①サービス・アプローチ、②データ駆動型、③地域主導、④官民連携、⑤Open by default。
  • 都市活動の質/都市生活の利便性向上を目標に、これまでもエリアマネジメントが推進されてきたが、これにデジタル技術の活用を加えることで、都市サービスの提供へとエリアマネジメントを変革する(エリマネDX)。また、これまでの都市空間再編や都市構造アプローチについても3D都市モデル等のデジタル・インフラを活用した手法を取り入れる(都市空間DX)。さらに、都市データを活用したオープンデータ化の推進・オープンイノベーションの創出と、Project PLATEAUの推進を加え、4つの重点取組テーマとした。
  • 都市は多様な人、 価値 、 モノ 、 情報 、 データが行き交うプラットフォームとしての役割を担っており 、 様々な分野を横断 ・ 越境 ・ 接続し 、 相互作用の中で新しい価値や文化を生み出すオープン ・ イノベーションの基盤である 。そのための施策展開のキーワードとなるのが、 コモンズ 、 コモンセンス 、コモンプラクティスの 「 3つのコモン 」 である 。
  • まちづくりDXにおける役割分担では、官と民がそれぞれ担う領域の中間にある官民協調領域が重要である。地方公共団体、まちづくり団体と市民が協働して、共益的な都市サービスを提供していくことになる。この活動には研究機関も参加し、一体となって、①地域課題の整理、②政策目標の設定、③施策の立案、④施策の実施のサイクルを回していく。5年10年単位ではなく、アジャイル(機動的)に軌道修正していくのがよい。
  • まちづくりDXとして三つのビジョンを掲げた。第一は、持続可能な都市経営である。将来を見据えた都市計画、都市開発、まちづくり活動により長期安定的な都市経営を実現していく。第二は、一人ひとりに寄り添うまちである。住民ニーズを的確にとらえ、多様な選択肢を提供するオンデマンド都市を実現する。第三は、機動的で柔軟な都市設計である。社会情勢の変化や技術革新に柔軟に対応し、サービスを深化させ続ける都市を実現していく。

講演後、次のような質疑があった。

オープンデータについて
質問(Q):地点を表示するために住所を使ったり、地番を使ったり、緯度経度を使ったりしている。オープンデータとして連携する際には、まずデータのクレンジング、標準化が必要になるのではないか。
回答(A):標準化が必要なのは大前提。これに加え、標準化されていない過去データであっても、まずは準オープンデータとして公開していくという考え方を示している。
Q:まちの中でIoTが収集する情報など、今から得られる情報について標準化は進んでいるのか。
A:都市の中の様々な状況を表現するデータの形式がまちまちだと利用の際に問題が起きる。そこで、都市OSという考え方が出てきている。都市OSは、地域や提供者の枠を超えたサービス連携を実現するための仕組みである。
Q:建築確認申請など建築関係のデータも活用できるのではないか。
A:建築物の情報はまちづくりには欠かせない。重要なデータであるので、うまく利用できるようにしていきたい。

まちづくりDXが目指すもの
Q:今日の話には、たとえば高齢者がどのように暮らすかというような話がなかった。都市基盤のうえで生活する市民の視点を加えるのがよいのではないか。
A:まちづくりDXは国のアクションプランなので個別具体的なソリューションについてあまり言及していないが、スマートシティ等が提供するサービスを実現するための基盤を議論している。ビジョンでは「人間中心のまちづくり」を掲げており、孤独の問題、防災の問題などは視野に入っている。
Q:オープンデータがあっても地方公共団体が知らない場合がある。まちおこしなどの住民活動への補助金制度の活用状況を整理して市役所にもっていったら、担当者は知らなかった。データ活用といっても簡単には進まないのではないか。
A:まちづくりDXでは地方自治体に加え、大学、市民、シビックテック団体、まちづくり団体など幅広い主体の協働を示している。様々な主体が知見をもちよることでDXが実現する。
Q:今後、どのように施策展開していくのか。
A:モデル都市を選定して経験を積み重ね、それを事例集として公表したり、ガイドラインを発行したりする。それらによって地方公共団体がまちづくりDXを採用しようとなったら、補助金を交付するといったステップを考えている。