日時:6月30日(火曜日) 午後6時30分~8時30分
場所:東洋大学白山キャンパス5号館4階 5401教室
文京区白山5-28-20
司会:山田肇(東洋大学経済学部教授、ICPF理事長)
講師:榎並利博富士通総研経済研究所主席研究員
コメンテータ:林絋一郎情報セキュリティ大学院大学教授
榎並氏は「プログラマであれば誰でもプログラムの書き方と法律の書き方が似ていることに気づくと思うが、それ以上追求することはないだろう。今回、仕事上マイナンバー法を読み進むにあたり、国民すべてが理解すべき法律があまりにも難解なのに怒りを覚え、法律をプログラムのように書いたらもっと読みやすくなるのではないかと真面目に考えた。」と研究のきっかけについて話した後、講演資料に基づいて講演した。
林氏は、講演資料を用いて、「社会の中の争いをさしあたり収束するために法的ルールがあり、科学的根拠を問われることは少ないが、だからこそ、科学の立場で法律を研究する必要がある。」と指摘した。榎並氏の提案に賛同するとしたうえで、法律家が常識としているポイントを理解したうえで提案することが、「法律村」の壁を突破するために必要であるとコメントした。
会場からも多くの賛同意見があり、榎並氏の提案の実現方法について以下のような示唆があった。
- 議員立法は内閣法制局の審査を受けないために、他の法律と矛盾するという事態がおきやすい。法律をプログラムのようにチェックできるという機能を、議員立法を促進するために提供してはどうか。
- 法律が読みにくくて困っている一般人に大きな声を上げてもらうべきだ。たとえば、外資の日本進出には、複雑で難解な日本の法律が壁になっている。彼らと一緒になって、読みやすくわかりやすい法律に変えるように運動してはどうか。
- 総務省が「e-Laws」を開始した。霞が関で働く女性がもっと活躍できるように、法案等関係資料の作成を支援するシステムである。このe-Lawsと連携してはどうか。
- NPOのアスコエが、自治体の提供するサービスを理解しやすい形でウェブで伝えようと、「ユニバーサルメニュー」を提案している。法律よりも条例のほうが攻めやすいのではないか。
- フローチャートを描くと法案と解説が同時にできるといった仕組みを開発するのがよいのではないか。
- もっとも国民に関係するのに、最も読みにくく理解できないのが税法である。提案を税法に適用し、こんなにわかりやすくなるのだとアピールしてはどうか。