主催:特定非営利活動法人ウェブアクセシビリティ推進協会
共催:特定非営利活動法人情報通信政策フォーラム
日時:5月26日金曜日午後6時から
場所:エムワイ貸会議室四谷三丁目 会議室B
本記録を作成した山田肇が内容について責任を負う。
渡辺隆行東京女子大学現代教養学部教授が「ユーザ中心のWebアクセシビリティをデザインする」と題して講演した。講演資料はこちらにあります。要旨は次の通り。
- Webアクセシビリティについて国際協調を進める国際・国内標準化に積極的に参加してきた。しかし現状を見ると、WCAG2.0を盲信しそれを技術的に実現するのに世の中はアップアップしているように思える。
- 32人の視覚障害者がサイト閲覧についてユーザ試験し、1383の問題に遭遇したという論文がある。そのうち半分の問題しかWCAG2.0の技術基準はカバーしていなかったそうだ。解決のための次のステップはデザイン、すなわち生活における様々な問題を解決するための人工物の設計にある。ユーザ体験や人間中心のデザインに移行すべきである。Webアクセシビリティをコミュニケーションとして捉える広い視野が必要である。
- 人間中心設計では、まずは利用状況を把握し、ユーザの要求事項を明確化し、解決案の作成し、設計された解決案がユーザの要求事項を満たすかを確認する。これを具体化した考え方がUXデザインである。Webアクセシビリティもコミュニケーションモデルの視点で考えるのがよい。
- デザインのプロセスにアクセシビリティを自然に組みこもう、ユーザの視点を取り戻そう。そのためには、アクセシビリティ評価として専門家による評価だけでなく、ユーザによる評価(ユーザテスト。インタビュー、記録)が重要である。本物のユーザにデザインのプロセスに参加してもらうことにより、予想外の気づき・理解が生まれ、モチベーションが上がる。
講演の後、ユーザを中心にWebをデザインする具体的な方法や、公共機関等でのWebアクセシビリティ配慮の現状に関して活発な討論が行われた。