主催:株式会社国際社会経済研究所(IISE)
協賛:特定非営利活動法人情報通信政策フォーラム
2023年3月27日(月曜日)14:30〜17:30
会場:日経・大手町セミナールーム2
ハイブリッド形式のシンポジウムには96名が参加し、下記概要の通り、デジタルヘルスに関連する講演が行われた。以下、文責は山田肇にある。
基調講演「PHR推進を中心としたヘルスケア政策の方向性」
橋本泰輔 経済産業省 ヘルスケア産業課長
健康の重要性が叫ばれているが、健康への個人支出は伸び悩み、ヘルスケアサービスの活用イメージもサービスの質も一定ではない。そこで経済産業省では、日常生活に健康づくりの行動をビルトインし、医療との接続を強化し、健康への投資を促しヘルスケア産業を振興する施策を展開している。
講演「仮想人体生成モデルとライフケアの民主化」
丸山 宏 花王株式会社 エグゼクティブ・フェロー/株式会社Preferred Networks PFNフェロー
それぞれの機能を果たすパーツの集合体として機械は構成される。一方、人の体も細胞が集まって総体として機能を発現するが、パーツには分解できない。そこで、総体としての機能発現を表現する仮想人体生成モデルを作り出した。生活習慣のどこをどのように変えたら疾病リスクがどう低減できるか、といった予測が仮想人体生成モデルによって可能になる。意思決定を支援するツールとして活用してほしい。
講演「歩行センシング・ウェルネスソリューション-意識せずに健康でいられる世界へ」
安東正貴 日本電気株式会社 コーポレート事業開発部門事業開発統括部Lifestyle Supportグループ プロフェッショナル
意識せずに健康でいられる世界を目指して、歩行センシング技術の開発を進めてきた。ソリューション商品化の際にクラウドファンディングを実施したところ、計画の10倍のアーリーアダプタを獲得でき、高い評価を得た。この技術は、骨折の回復に3か月を要するなどの医学的な知見も得るのにも、整形外科手術前後の歩容評価、リハビリテーションなどにも利用できる。
講演「デンマークにおける終末期の希望の電子的共有」
遊間和子 株式会社国際社会経済研究所 調査研究部 主幹研究員
デンマークでは個々人の医療データが蓄積され、医療に活用されている。個人識別にはデンマーク版のマイナンバーが利用されている。さらに、一人ひとりが「どのように死にたいか」について登録できる仕組みが出来上がり、活用が始まった。
講演「デジタルヘルスと国際標準化」
山田 肇 東洋大学 名誉教授/アクセシビリティ研究会主査
高齢社会政策のうち健康に直接関係する施策では、デジタルヘルスを活用することで有効性と効率性が高まる。高齢社会のデジタルヘルスについて国際標準化活動が進められ、アーキテクチャモデルといった技術的な事項に加え、高齢者の身体・認知・判断能力の低下に対応した安全の確保指針、人工知能活用についての倫理指針などの開発が進められている。