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知的財産 キヤノンの特許活用戦略 中澤俊彦キヤノン株式会社知的財産法務本部顧問

日時:12月9日(水曜日) 午後6時30分~8時30分
場所:東洋大学白山キャンパス5号館1階 5101教室
文京区白山5-28-20
司会:山田肇(東洋大学経済学部教授、ICPF理事長)
共同モデレータ:上條由紀子(金沢工業大学大学院工学研究科准教授、弁理士)
講師:中澤俊彦(キヤノン株式会社知的財産法務本部顧問)

講演資料はこちらにあります。

冒頭、中澤氏は講演資料に基づき概略次のように講演した。

  • ヨーロッパとアメリカが売り上げの各30%、アジア・オセアニアが40%を占めている。ビジネスはグローバルだが、知的財産については、知的財産法務本部が全ての事業、すべての関係会社を管理している。知的財産関係は集中管理をする必要があるためである。また、キヤノン技術情報サービスが先行技術調査や出願書類の翻訳作業を集中して行っている。
  • 1960年代の複写機業界は、ゼロックスが完全独占状態であった。得意な光学技術を活かし、ゼロックスの特許に触れない電子写真技術を開発した。潜像形成から定着までのコア技術でゼロックスの技術を回避した。周辺技術では、紙送りやデジタル化、ネットワーク化が必要になってきている。キヤノンでは、コア技術で周囲と差異化し、周辺技術は優位性を確保するようにしてきた。周辺技術に関しては、どこの会社も同じような技術を持ってやらなければならないし、独占はできない。周辺技術の一例だが、紙幣偽造防止では、お札だと認識するとコピーしない技術、どの複写機でプリントしたかがわかる追跡技術を導入した。今では、ほぼすべての会社がこの技術を使っている。
  • キヤノンの基本方針は、「知的財産活動は、事業展開を支援する重要な活動である」「研究開発活動の成果は、製品と知的財産である」「他者の知的財産権を尊重し、適切に対応する」の三つである。特許は重要だが、全てが重要なわけではない。重要な特許が重要なのであって、価値を評価しなければならない。どれがキヤノンの技術を支える発明であるかを認識する必要がある。他者の特許をどうするか。無効にするか回避するか、もしくはライセンスにするかも考えなければならない。
  • 2014年におけるキヤノンの米国特許登録件数は、4055件だった。昔から米国特許を重視している。広い権利が取れる、早く取れる、権利活用がしやすいといったことが理由で、他の競合企業もアメリカ特許を重視している。米国特許取得上位の中で、クアルコムやGoogleは、最近、急速に件数を増やしている。Panasonicはずいぶん減り、日立はランク外になった。産業用プロダクトに移行していったことが、日本企業が消えていった理由であると思われる。
  • 知的財産の役割は、基本は参入障壁である。差し止め請求と損害賠償請求の二つがある。会社にとっていちばんこわいのは差し止めされること。工場も人も機械も止めなければならなくなるからである。1980年代の終わり、コダックはポラロイドの特許を侵害したとされ、差止された上に、損害賠償1300億円を払った。レーザビームプリンタ、オートフォーカス、スマートフォンと、損害賠償の事例がある。
  • F-1という最高峰のフィルムカメラがあったが、この製品だけで100件くらいの特許を使っていた。その後のオートフォーカスのカメラが特許1000件、デジタル化したことにより関係する特許は10000件にも及ぶようになった。技術標準を多く使わないと作れなくなり、標準には必須特許が多く含まれている。技術開発と標準化が並行するので、標準が特許を回避できず、必須特許が膨大な数になってくる。
  • 特許数の増大に伴い、ひとつの会社が独占できていないため、メーカー同士が訴えると、必ず反対に訴え返される事態になっている。両者共に必須特許を持っているため、どちらかが勝つということはない。世界中で特許の侵害合戦となる。技術というより体力勝負、資本力勝負になってきているのが問題である。
  • パテントトロールとも呼ばれるPAE(パテートアサーションエンティティ)が問題である。生産をしていないので、何かしらの特許でやり返すことができない。PAEの特許については差し止めを認めないようにしてもらわなければならない。
  • 事業戦略がいちばん大事である。差し止めや賠償をしなくてすむようにしなければならない。ビジネスが儲かるようにしなければならない。新規事業に進出できるようにしなければならない。知的財産はツールのひとつ、事業戦略を達成するひとつのツールである。わかりやすいのはライセンス。特許のライセンスには範囲や製品について条件を付けることができる。自分たちに有利な形でのライセンスを図ったり、相手もWin−Winとなる関係を作ったりする。
  • キヤノンの特許は全部で9万件ほどあるが、すべて役に立つものである。しかし、特許は維持費用がかかる。そのため、あらたな特許を、捨ててもいい古い特許と入れ替える。9万件を維持するために3年くらいに一度見直している。
  • キヤノンとGoogleが中心となり、LOTネットワークをつくった。LOTの会員企業の特許がパテントトロールにわたった際には、他の会員企業に自動的に使用権が与えられる契約である。これによって、トロールからは特許侵害を訴えることができなくなる。

その後、以下のような質疑があった。

キヤノンの知的財産管理に関して
Q(質問):他社の特許を侵害している可能性が出た場合、どれくらい回避し、あるいはライセンスを得ているのか?
A(回答):知的財産メンバーと開発メンバーで侵害の可能性について検討すると、ほとんどは大丈夫と判断され、1割くらいしか残らない。その後も、無効審判を求めることで、ほぼ無効になる。残ったもののうち、回避してもビジネスとして問題なければ回避し、最後に残ったものは、必要あればライセンスしてもらう。
Q:デジタルカメラに10000件の特許が関係しているというが、すべてにライセンスを得ているのか?
A:努力しているが、全てはできていないと思う。特許を持っている会社から部品を調達したりして、できるだけリスクが減るようにしている。
C(コメント):1万件の中には映像符号化のようにパテントプールが存在するものもある。プールから許諾を得れば、それで数千件が一気に使用可能になる。1万件全部を個々に契約する必要はない。
Q:毎年10件程度のトロールから訴えられているそうだが、その結果は?
A:向こうがあきらめる場合もある。安く和解することもある。訴訟で勝つ場合もある。相手が提示してきた金額と特許の危険度を図る。どの程度なら和解した方が得か? 最後まで争うべきか? を考える。
Q:ライセンス料は入ってくるのか?
A:入ってきている。しかし、それだけが知的財産の価値だとは思っていない。自社と他社の技術力の差分で、収入が得られている。
Q:無償クロスライセンスと有償クロスライセンスの比率は?
A:昔は有償の方が多かった。今は、M&Aの影響で少なくなってきている。
Q:無償と有償の判断基準は?
A:相手の特許を見て、いい特許がたくさんあるかどうかである。自分と相手のポートロフィオを見比べる。
Q:本社集中で知的財産管理をされているが、ビジネス上のインパクトはその国の人がいちばんよくわかると思うが?
A:キヤノンでは日本と同じものを世界で売って行く。その国だから、どうのというのはない。国ごとにソリューションサービスが提供されるようになれば変わってくると思う。
Q:社員教育は行っているのか?
A:研究開発担当者に知的財産教育を行っている。特許の書き方や先行技術調査の仕方、課長クラスには知的財産戦略を教えたりしている。もうひとつは、開発部門と知的財産部門が一緒に仕事をしたり、毎月一回は定例会を開くとかしている。できるだけ事業に沿った知的財産活動を行うようにしている。

特許をめぐる国際動向に関して
Q:米国特許について、日本企業は産業用プロダクツに動いたので件数が減少しているという説明があったが、どのような意味か?
A:BtoCからBtoBに移ると、たくさんの特許を出さなくてもよくなる傾向がある。BtoCでは使い勝手やアプリといった部分で特許が増える。特に、コンピュータ機器などは、ユーザの利便性を確保するために、必然的に特許件数が多くなる。
Q:TPPによって知的財産法が変わる。キヤノンにとってよいことか、悪いことか?
A:適正に評価されることが一番大事だと思っている。この点では大きく変わるとは考えていない。
Q:IoTの急速な発展に伴い、産業構造がシームレスになってきた。業界を超えて知的財産を使い合う、競合し合うことが起き得る。キヤノンとして、どういった知的財産戦略をするべきなのか? どのようなことが考えられるのか?
A:事業的に何をしたいかが問題。キヤノンもスマホ作りたいとなったら、やり方は全く変わってくるだろう。そうしたときに取る知的財産戦略と、そこまでやらないよといって取る戦略とは全く違う。事業が何をしたいか、それが大切である。
Q:特許庁の審査官は審査にあまり時間をかけられない。すべての技術に通じているわけではない。各国に出願するにはカネがかかる。特許審査が各国で独立している現状をどのように考えるか?
A:本来であれば、世界にひとつの特許でよい、理想であると思っている。特許を活用するときには世界中で有効でないと意味がないと思う。そういう方向に進みつつあるとも思っている。日本と米国の共同審査などがその実例である。

標準必須特許に関して
Q:標準必須特許について聞きたい。そもそも標準化団体にはパテントポリシーがある。標準必須特許を持っている人は、合理的な条件で誰にでも使用許諾するということを認めなければならない。何が合理的なのかは交渉相手との力関係によるが、使用できることは保証されている。それを前提として、キヤノンは、標準必須特許を使うときに、何か警戒しているか?
A:標準化活動参加者については、使用できるのでそれほど心配はない。標準化活動に参加していなかった企業が、後から標準必須特許があるといってくるときがある。標準には公共財としての性格もあるので、後からの企業が差し止めを求めても認めるべきではない。
Q:標準化団体で世界中の特許をあらかじめ調査することは不可能であり、後からの問題を回避するのはむずかしいのではないか?
A:標準化団体は可能な範囲で調べるべきであると考えている。しかしそれだけでは完全ではないので、後からの問題への対処として標準必須の特許は差止を認めない制度が必要。JPEGでは実際に起きた。3件の特許が主張された。

ビジネス クラウドを地域活性化につなげる 佐々木道代株式会社セールスフォース・ドットコム執行役員

日時:11月25日(水曜日) 午後6時30分~8時30分
場所:東洋大学白山キャンパス5号館1階 5101教室
文京区白山5-28-20
司会:山田肇(東洋大学経済学部教授、ICPF理事長)
講師:佐々木道代(株式会社セールスフォース・ドットコム執行役員)

講演資料はこちらにあります。

佐々木氏は、資料を用いて概略次のように講演した。

  • わが国の中小企業ではクラウドの利用は進んでおらず、関心がない・知らないが小企業の七割を占める。
  • しかし、先進的に導入した企業、流体計画、ツルガ、本川牧場、陣屋などでは、顧客の満足度が上がり業績が向上する、事業に計画性が増す、などの成果を生んでいる。
  • 「経営者のIT/クラウドに対する食わず嫌い」は、先進的な成功例を伝えることで、経営者自らが決断するように変わる。総務省には、成功事例の動画を全国に広める必要を訴えている。
  • 「ITは金がかかる」という懸念がある。システムを自前でそろえると大きな初期投資が必要になるが、クラウドならスモールスタートで、初期費用は最小限になり、毎月少額の利用料を支払えば済む。経済産業省に、毎月の利用料についても補助対象とするように要望している。
  • 上手に使いこなした導入先が、自社開発したアプリをセールスフォースのマーケットプレイスで販売した実績がある。また、IT系の中小企業が帳票管理などのアプリを販売するためにマーケットプレイスを利用している例もある。マーケットプレイスを用いることで、グローバルな市場に容易に進出できる。

講演後、下記のような質疑があった。

マーケットプレイスについて
Q(質問):老舗旅館(陣屋)が導入し成功したことが、陣屋のアプリを旅館業界に売るきっかけになったのではないか?
A(回答):陣屋は将棋名人戦などで有名な老舗旅館である。そこでクラウド導入に成功したということが、全国の旅館での利用につながった。中小企業はたくさんあるが、影響力があるところが導入することで大きく変わる。
Q:マーケットプレイスには全国展開や世界展開が容易にできるという利点があるが、実践例は多いのか?
A:IT系の中小企業がマーケットプレイスに出展した事例はあるが、陣屋のような事例はまだ少ない。
Q:導入が進むと企業の淘汰が起きてくると思う。そのようなころになったら、セールスフォースはどのように収益を上げるのか?
A:グローバル化を目指していきたい。マーケットプレイスでワールドワイドに展開している。また、弊社はいつでも最新の情報や技術を準備している。顧客が新しいことを考えることで、我々も先に進むことができる。
Q:英語がわかれば、マーケットプレイスを通じて、海外と直接ビジネスことも可能か?
A:可能である。

中小企業での導入
Q:営業マンは顧客情報を囲いこみたがるのではないか。それで、クラウド化が進まないということがあるか?
A:それは、現実に問題である。しかし、売り上げが伸びない、販路を開けない、といった背に腹は代えられない事態が起きると、導入しようということになる。トップが号令をかける必要がある。
Q:なぜ、中小企業でも容易に導入できるのか?
A:ASPの場合、導入したらそのまま使うものことが多い。弊社のサービスでは、項目を追加したり、削除したりが容易である。顧客の要件を聞いて、弊社の営業が設定できるといった場合もある。
Q:企業のサポートとは、具体的には何を行っているのか? 具体的にやることが決まっているのだが、どうやってIT化すればよいのかわからないという声があるが?
A:コンサルティングはあまりやっていない。これは、外部のパートナー企業の仕事である。弊社では、実際に使っているユーザを紹介することもある。
A:弊社のサービスは、トライアルとして一月無料使用できる。企業によっては、自らこれに挑戦する。もうひとつはパートナー企業。SIerに初期構築をやっていただく。セールスフォースはツールを提供し、また、問題発生時の対処や保守を中心に行っている。
Q:陣屋以外は、地方のSIerと取り組んでいるのか?
A:地方のパートナー企業育成に非常に力を入れている。近くに相談できる人がいないと、導入支援が難しい。とはいえ、地方にたくさんいるわけではないので、必要に応じて東京のパートナー企業を紹介している。クラウドなので、電話と画面共有でセットアップすることも可能である。
Q:アプリ開発には、どれくらいの労力が必要なのか? ノウハウが必要なのか?
A:セールスフォースの製品を学ぶためのコースを提供している。それを受講してから、作ってもらう。プラスアルファで作るとうことは、また、業務プロセスの中身がわかっていないといけない。凝ったアプリを作れば3か月くらい、シンプルなものであれば3日くらでできる。なお、マーケットプレイスに載せるには、セールスフォース側で審査をし、それをクリアしなければならない。

公共機関での導入
Q:「千葉レポ」のような事例は多いのか?
A(参加した千葉市職員から):「千葉レポ」登録ユーザは3000弱。役所に昼間来るのは、女性が半分、高齢者が4分の1だが、「千葉レポ」は8割が男性。通勤途中で道路の不具合を発見したと送信できる。今まで市政に関わってこなかった人たちが関わるようになったことが最大の効果である。他の市町村でも検討しているところはあるが、多くはない。
A:一時的な給付金の執行のように、特定の短期間に配布するため、その期間のみ用いるといった場合にクラウドを考える自治体は多い。静岡県ではクラウドを防災状況に初めて用いた。道路情報を、GPS機能を用いて管理している。47都道府県の4分の1に広まった。
C(コメント):役所には多くの業務システムがある。それを前提とすると、現状では、クラウドはアディショナルなプラスアルファの業務に利用される程度である。自治体によっても方向性は異なる。関西の政令指定都市は道路管理業務を削減するためのしくみを導入したが、クラウドではなく独自方式で行ったそうだ。
Q:医療介護連携などにも利用できるのではないか?
A:医療介護の情報は機微な情報だが、企業で多くの部門が協力して顧客を管理するのと考え方は同じである。コニカミノルタが弊社のシステムを利用して訪問介護のしくみを作り、既にいくつか利用されている。
Q:行政の縦割りはクラウド利用で改善されるのか?
A(参加した千葉市職員から):業務縦割りでシステム調達がされている。市民目線で見直そうということで、ワンストップ窓口が生まれつつある。千葉市の場合、700のうち140の手続きがワンストップになる。そうなると、それぞれのベンダーで構築したそれぞれの業務システムを横断するシステムが必要になる。

ビジネス ネット投票ビジネスの可能性:アイドル総選挙から学ぶ 市ノ澤充株式会社パイプドビッツ政治山力ンパニーシニアマネジャー

日時:11月11日(水曜日) 午後6時30分~8時30分
場所:東洋大学白山キャンパス5号館1階 5101教室
司会:山田肇(東洋大学経済学部教授、ICPF理事長)
講師:市ノ澤充(株式会社パイプドビッツ 政治山力ンパニーシニアマネジャー)

講演資料はこちらにあります。

市ノ澤氏は講演資料を用いて概略次のように講演した。

  • アイドル総選挙のシリアルコードを用いたオンライン投票は8割ほど。パソコン、スマートフォン、ガラケーすべてから受け付けている。データ容量が非常に多い(候補者の写真250人分くらいをアップしている)ため、極力シンプルなシステム構成にしている。
  • 秒間1万アクセスに耐える、秒間1000投票に耐えるシステムである。夜間に投票が集中するリスクも考慮して、24時間体制でのバックアップを取り続けることで、ダウンタイムゼロで運用している。
  • 複数の担当者がそれぞれ集計を行い、弁護士がチェックすることで開票の管理を行っている。
  • シリアルコードを付与して投票者を認証し、重複投票を排除している。特定の端末から集中したアクセスがあった場合には、一時的にその端末を排除する機能を用いて、攻撃を防止している。
  • ネット選挙解禁は、選挙をする側の目線に立った解禁であった。有権者の多くはネット投票解禁と勘違いし、わかりにくい部分があった。参院選の選挙公示前の期待としては、ニュースサイトや政治選挙情報サイト、政党のホームページ、候補者のホームページを閲覧するとした人が多かった。しかし、投票直後の調査では、候補者のサイトなどは少なかった。有権者が求めていた情報が得られなかったためと解釈している。
  • ネット選挙のセキュリティについては運用面の課題が多い。候補者による不適切な投稿による炎上等がある。技術面での課題は、それに比べれば少ない。プロバイダ責任制限法で、選挙期間中に不利な情報がアップされたときは、2日で削除できることになったが、大きなプロバイダにはそのような依頼はほとんどなかった。町村の選挙など投票期間が短いものに対しては、2日でも時間が足りないので、無視または泣き寝入りするしかない。
  • 2014年12月衆院選の投票率は過去最低を更新した。今の選挙制度では、投票の現場で、不正は日々行われていても検証が困難である。なりすまし投票や、集計作業を急ぐあまり票の操作をするところがある。ネット投票にすれば、改善できる可能性がある。
  • 2002年に電子投票が可能になったがいくつかの自治体で機器停止のトラブルが発生したため、今は休眠状態になっている。設置した端末のファンがうるさいからと、職員が停止し、そのため、機器が停止してしまったというような人的な運用トラブルもあった。
  • エストニアやノルウェーなど20か国以上の国で、すでに公職選挙でネット投票が実施されている。エストニアでは、公開鍵と秘密鍵を用いた受付サーバを選挙管理委員会で保持する。カード読み込みリーダーを国民に配布し、端末とカードで本人認証を行う。投票データベースの保存は、暗号化する。日本と大きく異なる点は、暗号化署名付き投票データである。エストニアでは、誰が誰に投票したのかが結び付いている。自由意思での投票を担保するため、選挙期間中に再投票が可能としたためである。再投票でデータは上書きされる。
  • 日本では、ネット投票について、本格的な議論はされていないのが現状である。一方、一人一票の代表選が、維新の党で考えられていた。シリアルコードで有権者を確認する方法が採用される予定だった。ネットと郵送、演説会場で投票できるようにと考えていた。「日本を元気にする会」では、ネットを活用した直接型民主主義を実践している。
  • 2014年4月にインターネット投票研究会を社内に設置した。国内外の事例を検証し、自治体での検証を行うことを目的としている。2015年7月に情報ネットワーク法学会に研究会を設置・運営している。
  • インターネット選挙といえば、6割の人がネット投票と回答する。年代が若ければ若いほど、その傾向がある。期待できる成果としては、ネット投票できるようになったら5割がネットで投票すると回答している。
  • 在外邦人の投票の手段としてネット投票が考えられる。ざっくり紹介すると在外邦人125万人に対して、名簿登録しているのが10万人、投票数は約2万である。海外で投票する場合、投票所まで遠いとか、10名程度の票を日本まで複数の外務省職員が運搬するとか、コストやリスクがある。

講演後、以下のような質疑があった。

選挙システム運営者の役割
Q(質問):開票する直前までデータはブラックボックスの中にあるというが、開票作業はどうするのか?
A(回答):開票作業は一人では行わない。選挙管理者が暗号鍵を持ち、選挙システム運営者と一緒に開票することで、システム運営者が投票結果を操作する恐れはなくなる。
Q:情報システムに疎い選挙管理者には理解できないことが多いようだが?
A:システム運用者ではなく、選挙管理者が管理者権限を持ち、場合によっては選挙管理者の端末一つからしか開票できないというような設定もできる。それに加え、専門家を第三者として立ち会わせるとかいった、選挙管理者の目に見える形でのセキュリティが必要になる。

国政選挙でのネット選挙
Q:ネット投票を導入しようというドライブ要因は何か?
A.:投票率の向上である。エストニアの研究であるのは、若者の投票率の向上につながるといわれているが効果はそれだけではない。在外投票もそうだが、物理的に投票が困難な人たちの投票率向上にもつながる。島嶼部・過疎地とか、障害を持った方の投票は、ネット投票で容易になる。
C(コメント):2016年4月に障害者差別解消法が施行される。第7条より、公共機関には障害者に投票機会を保証する義務が発生する。それを切り口にするのは、良い突破口になるだろう。
C:多様性という言葉が重要だ。
C:障害者以外にも利益が出る。スマホで選挙公報を見る場合も、画像が小さすぎたり、スクロールで見にくかったりするが、視覚障害者を考えてテキストを提供していれば、スマホ利用者も情報取得が容易になる。
Q:今後の課題は技術面なのか、運用面なのか?
A.:今の技術の組み合わせでできないことは少ない。旧態依然とした公職選挙法が課題であり、意識改革をしてブレイクスルーしなければ進まない。人々の認識の差をどう埋めていくのかが課題である。

ネット選挙のビジネス化
Q:アイドル総選挙以外に、民間で実施できるようなものはあるのか?
A:「.からあげ総選挙」などはやっているが、公的な本人認証を伴うものは実施していない。また、ネット投票の関連技術は、オンラインでの本人確認や署名を必要とする多様なサービスに適用可能である。

ビジネス 行動情報解析ビジネスの可能性 水口ひとみ株式会社UBIC部長代理ほか

日時 2015年10月28日(水)18:30~20:30
場所:東洋大学白山キャンパス5号館1階5101教室
司会:山田肇(東洋大学経済学部教授、ICPF理事長)
講師:株式会社UBIC コーポレートコミュニケーション部 部長代理 水口ひとみ氏
株式会社UBIC MEDICAL 営業部 営業マネージャー 江後大樹氏

講演資料はこちらにあります。

水口氏と江後氏は講演資料に基づいて概略次の通り講演した。

 

  • UBICは、2003年8月にCEOの守本正宏氏によって設立され、米国訴訟支援事業を中心にビジネスを展開してきた。人工知能技術を、その間に蓄積したノウハウと独自技術により発展させ、未来予測に優れるビッグデータ解析技術を開発した。適応分野を拡大することで独自の社会貢献を目指している。
  • 拠点は日本の他、米国、韓国、台湾とグローバルである。米国では、2013年にナスダックに上場している。2014年には、ワシントンD.C.のディスカバリ企業であるTechLaw Solutionsを完全子会社化し、2015年にサンフランシスコのディスカバリ企業であるEvDを完全子会社化している。外国籍比率が70%とグローバルな環境となっている。
  • 米国での訴訟では、原告と被告ともに自ら保有する膨大な資料(eメールや電子文書など)の中から必要な証拠を見つけだし、裁判所に提出するディスカバリという手続きがある。そのためには、テキストを効率よく解析する技術が必要である。
  • 証拠は、自分たちで提出しないといけないのが米国独特のルールである。大量の電子メール、電子書類の中から証拠となるものを探さなくてはいけないため、米国のリーガル産業は、ハイテク産業であると言ってもよい。法律事務所から委託されたITベンダーが膨大な資料から証拠となるものを探し、抽出した資料を弁護士がチェックし、証拠かどうか最終判断をするという仕組みである。
  • 人工知能を利用した国際訴訟支援では、膨大な量の対象データから一部をサンプルとして取り出し、弁護士にこれが証拠になるか、ならないかを判断してもらう。この弁護士による仕訳の教師データを人工知能が学習して、残りの膨大な資料を、弁護士の判断基準に合わせて、人の4000倍の速さで重要度順に並び替える。弁護士本人の判断基準で選択するので、弁護士も納得できる抽出となる。検索キーワードではなく、文脈の違いで検索できることが特徴である。
  • 上記のようなディスカバリの他に、日本の法執行機関への導入事例もある。捜査資料等を外部機関が預かることはできないので、ツールとして販売している。
  • 国際訴訟支援に加えて、企業の第三者委員会の調査案件に利用していただいた事例や、人工知能を活用したメール監査ツールの企業への導入など、1400件以上の実績がある。年初のNHKスペシャル「NEXT WORLD」第1回では人工知能の企業としてIBMやグーグルなどと並んで、日本企業として1社だけ紹介された。
  • UBICが特化しているのは、自由に記載されたテキストデータの解析である。キーワードや概念検索ではなく、人の暗黙知や感覚、嗜好を学ぶことで、大量のデータの中から見つけ出したいデータを探し、優先順位をつける。人工知能を利用するメリットは、少量の学習から大量のデータを判断できることにある。また、判断の継続性・精度の維持、人間の行動や判断の特徴を捉える、専門家の業務をサポート、一般ユーザの感覚を学ぶといったメリットがある。
  • 新領域での取り組みに乗り出している。病院内における「転倒・転落防止システム」がその一例である。電子カルテのテキストデータは病院にたくさんあるが、忙しい医師がデータの解析をするのは困難であり、時間を要すれば患者に向き合う時間が減ってしまう。従来は入院患者の転倒リスクに対して、アセスメントやセンサーといったもので対応してきたが、転倒リスクをタイムリーに把握し、患者・医療スタッフに負担感が少ない技術が必要とされている。
  • NTT東日本関東病院との共同研究では、電子カルテ100名分16749件から、安全管理のエキスパートである医療安全管理室勤務の看護師に、転倒の予兆となる意識障害の症状がある患者のデータ17件(7名分)を選んでもらった。その他のデータとして、上記の7名以外のデータから1000件をランダム抽出し、この1017件を教師データとして学習させた。これを元に、すべての電子カルテを0~10000点でスコア付けすることができ、優先順位をはっきりさせることができた。スコアの高い約1000件に注意力の低下や意識障害などの症状がみられ、効果が検証された。
  • マーケティング分野では、デジタルキュレーションサービスを試みている。これは、「あなただけの人工知能」をコンセプトにしたサービスとなっている。一般に、本を買ったり、レストランに行く際にはレビューを参考にすることが多い。Amazonでは、購買履歴から「あなたが買った本を買った人は、ほかにこんな本も買っている」といったリコメンドをしてくれるが、このような既存技術・サービスでは、細かい個人の好みを反映できていなかった。定量的な情報を用いたありきたりなおススメにより、ユーザがサービスに飽きてしまうこともある。
  • 人工知能によるユーザの好みを理解した提案は、まったく違うアプローチをとっている。評価点数や購買・行動パターンではなく、多数の人が意思を持って書き込んだコメント群を人工知能で分析することで、その人の好みにあった商品・サービスをリコメンドできる。例えば、自分のよく知っている九州のホテルで教師データをつくる。この教師データで、海外のすべてのホテルサイトのレビューを分析すると、私の判断基準で好みのホテルを見つけてくれる。自分では気がつかなかったけれども好きであろうもの、驚きを含んでいるが自分の好みから外れていないものを抽出するといったことができる。
  • ビジネス支援の領域でも人工知能を搭載したソフトウエアの提供を開始した。電話によるコミュニケーションが主流であった以前の職場環境であれば、部下が電話で話しているのがなんとなく聞こえてきて、その内容から「トラブルになりそう」、「ビジネスチャンスになりそう」ということがわかった。現在は、電子メールやSNSでのやり取りになっているので、自分の部下が取引先などとどんなやり取りしているかわかりにくい。
  • 管理・監督者の暗黙知から教師データを作成すれば、チームメンバーの電子メール・電子文書の中からビジネスチャンスやビジネスリスクにつながる情報を検知し、お知らせしてくれるようになる。例えば、マーケティング部門の担当者が、コールセンターの顧客対応履歴データの中から、「商品開発のヒント」や「クレーム」といった予兆を検知できるように支援する。
  • 経済産業省から2015年7月の子どもデーに出展のお誘いをいただき、人工知能を子供が体験できる「人工知能がおすすめ!あなたがきっと好きな本」をブース出展した。好きな本を選ぶと、人工知能がその子の好みにあった本を提示してくれる。7月29、30日の2日間で会場に2180名の参加があり、気づきの多いイベントになった。
  • 医療にフォーカスして、専門子会社「UBIC MEDICAL」を2015年4月に設立している。NTT東日本関東病院との共同研究プロジェクトやAMEDの公募事業などを進めており、今後は、治験情報の解析支援サービス、薬剤監視サービス、メンタルケア支援データ解析サービスといった事業にも拡げていきたい。AMEDの公募事業では、慶応大学やアドバンスト・メディア、システムフレンド、セムコ・テクノ、ソフトバンク、日本マイクロソフトといった企業との共同で、精神疾患患者における重症度の客観的評価を行えないかという研究を行い、4年かけて製品化の予定である。
  • エムスリー株式会社との協業で、医薬品の販売で副作用調査を実施することも発表している。途上国でも、副作用調査が必要になってきており、実際の副作用と疑わしいものを判断して、厚労省に報告できるように支援するものである。
  • トヨタテクニカルディべロップメント(TTDC)と、特許出願のための調査業務の負担を軽減する知財評価ツールを共同開発した。こちらは、年内に発表予定である(2015年10月29日提供開始)。また、デバッグのサービスを提供するハーツユナイテッドグループと協業を開始している。スーパーデバッカーと言われるような人は、プログラムを眺めているだけで、バグを発見する。この暗黙知を人工知能に学習させ、IoT時代のニーズに応える。最近は、サイバーセキュリティの面からも、開発したプログラムに穴がないかをきちんと確認したいというニーズがある。

講演後、以下の事項について質疑があった。

個人情報保護と利用規約
Q(質問):子供たちがデジタル教科書を使うと、同じ教室の中でも、ひとりひとりの進捗ごとの授業が可能となる。それに加えて、図書館で子供が何の本を借りているかがわかれば、もっと個人の嗜好にあった教育が提供できるはずだ。しかし、図書館には自由を守るという原則がある。思想の管理にもつながる恐れがあるセンシティブな個人情報(閲覧記録)を利用することは抵抗がある。UBICの事業では、個人情報の取り扱いはどうなっているのか?
回答(A):UBICがマーケティング分野の事業を行う際には、パートナーとして、ECサイトなど個人情報を取得する事業者と組むことになる。その事業者が提供するサービスを利用する段階で、個人情報の利用に関する許諾をもらうことになる。
Q:利用規約は長くて細かいので通常は読まない。消費者に明らかに不利な内容があれば、それは利用規約として認められないというように民法改正しようという動きもある。
A:ECサイトの場合は、購入することが前提で利用者はサイトにアクセスしているので、基本は「おすすめされたい人たち」となり、あまり問題にならないのではないかと感じる。公共のデータを利用する場合には、個人情報の取り扱いの問題がでてくると思われる。
コメント(C):利用規約自体をAIにかければ、おもしろい結果がでるのではないか?

人工知能技術について
Q:グーグルで名前を検索したら、全く関係のないものと関連付けられていた。グーグルに文句をいうと、「機械がアルゴリズムでやっているので、なぜかわからない」と回答されるという話があった。こういうことはあり得るのか?
A:なぜ人工知能がそういう判断をしたか理由を説明するのは難しいと言われている。電通国際情報サービスとの共同開発では、例えば、スターウォーズが好きというデータを教師データにすると、クロサワの映画がリコメンドされる。クロサワに興味がなくても、映画を見てもらえれば「クロサワの映画もいいね」ということになる。「なぜクロサワ?」に対して、例えば「ジョージ・ルーカスがクロサワをリスペクトしていたから」という理由があれば、リコメンドされた人もとっつきやすいといえる。
C:クロサワを見なかったら、教師データに「見なかった」というデータを入れて再計算すればいいのではないか。
C:人間の判断の多くは間違えであると言われている。クロサワを選ばなかったことが間違いということも多いはずである。
A:人工知能で解析しても、最終的には人が選ぶ。国際訴訟であれば、弁護士を支援するものである。ホーキング博士のような著名人の一部から「人工知能が人間を超える」という脅威論がでているが、当社の人工知能は、人間の判断基準を学んで支援するというのがコンセプトである。
Q:ニッサンがハンドルのない車をだした。人間がどう危険を回避しているかの知見を利用していると思うが。自動運転の中で、自分がブレーキを踏むか踏まないかの判断ができるのか?
A:どこまでの精度が求められるかということになるが、これは活用分野によるところもある。リーガルやメディカルは精度を求められる。一方、マーケティングは100%の正解を求めるよりも、個々人の嗜好に合うかどうかといったことだ。
C:米国では、自動運転のリスクは保険でやればいいという話しもあるが。
Q:医療分野の事例であった転倒リスクでは、人工知能の解析結果を最終的に医師が判断するのか?
A:その通りである。患者にどんなケアをするのか、どこに人員を配置するのかといったことは、現場の人間、医師や看護師の判断になる。あくまでも補助である。解決したいという思いがある医療従事者がUBICと組んでくれている。そもそもリスクが高い環境なので、それをどう軽減するかという中での、UBICの支援となっている。現場が受け入れていただけるものを優先的に取り組んでいる。

新しい応用の可能性
Q:著作権コンテンツ、過去のテレビや映画のコンテンツの評価方法として使えないのか?
A:映画の脚本などのテキストがあれば利用できる。過去に視聴率が高かったドラマを判断基準として抽出してくるということは可能であろう。
Q:医療分野への進出の課題は?
A:医療分野はコンサバティブな人が多く、病院で教師データを作るのはなかなか難しい。厚労省も国立病院のデータを集めようとしているが、病院ごとにメーカーが違って、データが活用しやすい形式で集められていない。活用しやすいようにモディファイすることが、患者さんのためになる。
C:日本でこういう技術が開発されたのはよいことと思う。日本では消費者の立場にたった議論ができていないため、ITリテラシーのない人が便利だからと、自分の情報をどんどんと入力してしまい、気づいたら、消せなくなっているということもある。ITリテラシーのない人は、歯止めがわからない。人工知能の解析で、サーバーポリス的に、ここからは危ないよと教えてくれれば、安心して利用できるのではないか。
C:僕はネットを積極的に利用すべきと思っているが、過剰に依存するのはよくない。現在の子供向けのインターネットフィルターが機械的なブロッキングが行われている。教育者の教師データで、子供たちとっても苦にならないものができそうである。
Q:人工知能の提供方法は、エンジンをライセンス的に提供しているのか?
A:アプリケーションにして販売するものもあれば、協業の場合には、協業先のシステムに組み込んだりする。リーガルの場合は、膨大なデータ量なのでクラウドサービスを提供し、ホスティング料やコンサルティング料でお金をいただいている。製品として購入してもらい、トレーニング料・コンサル料をいただくケースもある。eメール監査はクライアントのID数での価格となっており、一律の料金体系ではない。
Q:データ分析の機能を売るには相手の暗黙知が重要で、UBICにこれが蓄積されていく。暗黙知を横展開、ほかのドメインに持っていくということはしているのか?
A:メール監査ソフトウエアには、ナレッジベースを搭載している。海外公務員への賄賂、カルテルなどの場合、このような事案は急に起きるのではなく、その前段階がある。心理学、犯罪学などの行動科学の面からもモデリングする。このナレッジベースにより、カルテルの経験のない会社でも、まずはUBICのソフトウエアで解析することが可能で、そのあとに人工知能が再学習すればよい。
Q:こういう分野の技術者を大学で育てる場合、機密情報である企業の実データを大学で使うことはできないので、人材育成できないのではないか?
A:人工知能の研究者は、アカデミックでも育てられる。人工知能には冬の時代があり、研究者は、今は引く手あまたである。ただし、特定のビジネスドメインに提供される技術の研究は大学では難しいのでここは企業がやらないといけない。UBICの研究開発陣は、哲学出身のCTOをはじめ、素粒子物理の元研究者、4か国語を話す計算言語学者など多様な人材がいる。
C:大学では、人工知能を利用しようとする先生方は多い。銀行での異常行動から認知症患者を検知できる、児童相談所に児童虐待のデータが紙でたくさんあるが、これをデータして分析しようという話もでてきている。
Q:大学の先生がUBICと共同でやりたいといえば、筋がよければ一緒にやってもらえるのか?
A:まずは、UBICの技術が役に立つのかを無償で実験するProof of Conceptという段階がある。ここで芽があるとわかれば、有償の運用フェーズとなっていく。PoCなら人工知能の実験は、パソコン1台でできる。
Q:学習塾では、アルバイトの大学生が教えていることが多いが、教える人が少なくなっており、AIによる学習アドバイスが注目されてきている。できない問題を入力すると次にやるべき問題用紙がでてくるといった個別化対応は結構進んでいる。長く教えている先生で、教え方もうまくて、子供気持ちもわかる先生の知見をAIにすれば、これが先生になるのではないか?
A:教育分野はご相談が多く、個別化対応が得意な当社の人工知能には可能性がある。人工知能によって、弱い部分をアドバイスできるようなものになると思われる。