主催:情報検証研究所
共催:情報通信政策フォーラム(ICPF)、アゴラ研究所
日時:1月27日(水曜日)18:30-20:00
方式:オンライン(Zoomウェビナー)
登壇者:
原 英史 株式会社政策工房 代表取締役
山田 明 経営評論家
池田信夫 アゴラ研究所所長
山田 肇 ICPF理事長
加藤康之(進行)
冒頭、原氏と山田明氏が講演した。原氏は規制改革会議での2017年当時の議論を中心に、山田明氏は著書「スマホ料金はなぜ高いのか」(新潮文庫、2020)に基づいて講演した。
その後、登壇者四名による以下のような討論が行われた。以下、文責は山田肇にある。
- SFN(単一周波数ネットワーク)の技術を用いれば、テレビ帯の周波数を集約できる。それによって、100メガヘルツを超える周波数が移動通信に提供できるようになる。したがって、問題は技術ではなく、テレビ局の経営である。
- テレビ帯の周波数を集約しても、電波を使って放送番組を届けるというビジネスモデルには何の影響もない。しかし、視聴者、特に若者のテレビ離れによって、現行のビジネスモデルは存続できない恐れがある。
- テレビ番組の品質は、Netflixなどのサブスクリプション型ストリーミングサービスと並び、YouTube動画などよりも勝っている。テレビ番組をネット配信するのは、テレビ離れした視聴者を引き付けるチャンスであり、広告スポンサーも付く可能性がある。
- 在京キー局はすでにこれに気付き、各社それぞれネット配信を始めている。配信に伴う個別の映像などの許諾取得を一部不要にして、権利処理を簡単にする著作権法の改正も予定されている。
- しかし、日本民間放送連盟は、ネット配信は放送区域に留めるべきとの立場を取っている。これは、連盟の構成員の大半を占める地方局がネット配信に乗り出す経営体力がないことに引きずられた結果である。しかし、その間にも広告スポンサーのテレビ離れは進行するから、このままでは地方局はじり貧に陥るだけである。
- 地方局の中にはネット配信に乗り出す例も出てきている。たとえば、広島県域のRCC中国放送は「RCC PLAY!」で放送番組を全国に配信している。
- RCC中国放送のような好例が増えていくためには、政治がトップダウンで放送改革の声を上げるのが適切かもしれない。次回のシンポジウムには有力な政治家に登壇していただこう。