知的財産 通信事業者の電子書籍ビジネス

概要

この一年、電子書籍をめぐり大きな変化が起きています。アメリカでの出来事を対岸の火事のように眺めていた出版業界や端末機器メーカーが、ついに一斉に動き出しました。電子書籍の普及は私たちの生活をどのように変えていくのでしょうか。産業構造にどのような変化が予測されるのでしょうか。ICPFではこの秋、「電子書籍をめぐる動向」と題するセミナーシリーズを開催しています。
第4回は通信事業者の動向をテーマに開催します。このところ、電子書籍の配信や電子書籍端末の販売について、通信事業者からの報道発表が続いています。通信事業者が電子書籍市場に積極的に関与するのは、わが国に特有の現象です。そこで、先ごろ電子書籍配信サービス「LISMO Book Store」の提供と電子ブックリーダー「biblio Leaf SP02」の販売を発表したKDDIに、電子書籍市場への参入の動機や展望などについてお話ししていただくことにしました。
皆さま、ふるってご参加くださるようご案内いたします。

議題

テーマ:「通信事業者の電子書籍ビジネス」
モデレータ:山田 肇(東洋大学経済学部教授、ICPF理事長)
スピーカー:権正和博氏(KDDI新規ビジネス推進本部 書籍サービスグループリーダ)

講演資料

こちら

レポート

本日は通信事業者の電子書籍ビジネスについて。過去の携帯電話向けの取組みも含めてご紹介させていただきたい。

取り組みの歴史

KDDIは2003年の11月、電子書籍を明確にうたいサービスを開始。電子書籍を見るのに特化した携帯電話の開発などを進めてきた。パケット定額という当時としてはインパクトのあるサービスの導入がきっかけで、その時から、電子書籍について携帯電話業界の先陣を切って行ってきた。当時のふれこみは、「1冊丸ごとダウンロード」「簡単読書」「サクサク読書」「ケータイならではの音が出せる、振動するなどの機能」であった。
2005年、本に関してのポータルサイトを開始。コンテンツプロバイダーがどんどんストアを立ち上げ、ユーザがどのサイトをみたらよいのか判らなくなっていた。そこでKDDIがポータルを提供することにした。新刊や流行の情報提供。auとして紙の本を売るECサイトもスタートした。ケータイで読むと紙の本で読む、の好きな方を選択して下さい、という内容だった。当時出版社は紙の本を売りたいということだったので、ケータイで一部立ち読みして紙の本を購入する、という流れを作った。当時は小学館が積極的。一緒に記者会見をやって盛り上げていった。
次に、ポータルの中で提供する検索機能を充実した。最初の段階ではデータベースが整理できておらず、紙と電子のデータを横串では検索できなかった。そこで検索を強化し、本とユーザの出会いを演出した。
2009年に電子書籍に特化した携帯電話biblioを発売した。3.5インチの大画面、タッチパネル。qwertyキーも装備。三省懇談会の資料では日本を代表する電子書籍端末として紹介された。ユーザからの評判もよかった。
これ以降の端末については、ビューアと検索アプリを端末にプリセット。ユーザは端末機能の一部として認識するようになった。読んだら続きのファイルを探しに行くなどの機能が付き、ポータルサイト的な訴求も可能に。今出ているフィーチャーフォンの中には全て実装されている。サポートしているフォーマットは、シャープのXMDFとセルシスのBS Readerである。
その後、LISMOブランドに統合した。当初「LISMOは音楽」という売り方をしてきたが、総合エンターテイメントのブランドへ。2009年のタイミングで、本もLSIMOブランドでの取り扱いに。音楽・映像・本は切っても切れない関係で、プロモーションでも同じ枠の中で訴求し、非常に効果的に機能している。それまでは「EZブック」ブランドで展開していたが、「LISMO BOOK」へ。プッシュ配信型のメディアでのプロモーションを行い、積極的にコンテンツを開拓する上では、眠っている優れた才能を発掘するため、各種文学賞の企画にも参加してきた。
音楽映像のクロスメディアプロモーションは我々が得意とするところ。ワンピースとのタイアップ・キャンペーンがその例である。動画、着せ替えコンテンツ等をユーザに提供し、興味を喚起し、出会いを創っていく。少年ジャンプ連載の最新ストーリを電子化して配信している。期間限定の取組みだが、出版社もチャレンジし始めている。映像という枠の中での取組み。映画に対しての出資も行っている。『ゴールデンスランバー』も映画のタイミングに合わせて電子化を新潮社と行った。

携帯向け電子書籍市場

数値は伏せるが、流通額の推移を見ると、成長していることが判ると思う。開始して1年半以上は低空飛行だったが、ビューアが高性能化し、検索サービスが整う中で、ユーザの消費が増加してきた。それまで出版社は様子見だったが、出す側も積極的になり、コンテンツの数も飛躍的に増えていった。ユーザの利用額は高く、平均して1000円を超えている。携帯電話のサービスは315円が利用単価の基準となっているが、電子書籍サービスでは、全体の平均で1000円以上使われる。ユーザによっては1万円以上と言うことも。ここにきて成長も一段落。
携帯電話の電子書籍市場を支えているのは8割から9割がコミック。それはauでも同じでコミックは86%。写真集や小説が14%。ボリュームゾーンは20代30代の女性。
インプレスによると携帯電子書籍のメリットは、いつでもどこでも読める・買える、保管に場所を取らない、持ち運びしやすい、人目を気にせず買える。悪いところは、画面が小さい、バッテリが直ぐ切れる、目が疲れる、ダウンロードに時間がかかる、通信環境が悪いと購入閲覧できない。

電子書籍専用端末

携帯電話向けの市場は落ち着いてきた感じがしてきており、その中でオープンプラットフォームのアンドロイドデバイスが展開していっている。コミックに偏っているばかりでは、文字のコンテンツが浮かばれない、携帯電話というデバイスでは限界があり、なんとかして活字の書籍市場も盛り上げていきたいと考えている。
また、デバイスが多様化する流れ、キャリアがある程度主導して環境整備してルールを作ってきた状態から、皆が自由に出来ると言うことになってきた。流通のプラットフォームが自由に作れると効率が悪くなり、ユーザにはデメリットになるかも知れない。ユーザがスマートフォン・タブレットを買ったときに何のアプリから電子書籍を落とせばいいのかわからない状況になる。それに対する導線の整備が必要である。
携帯電話の限界をこえるために、電子書籍の専用端末を作った。それがbiblio Leaf。電子ペーパーか液晶タブレットにするのかは社内で議論したが、電子ペーパーでなくては出せない価値・魅力を提供すると言うことで電子ペーパーにした。目に優しい、バッテリが長持ち、軽量コンパクトなどのメリット。文字の書籍の魅力を伝えていきたいという思いが端末に込められている。
紙の本とbiblio Leafを併存することを前提としたクリエイティブで宣伝している。新しい読書スタイルの提案をアピールしている。

LISMO Book Storeとブックリスタ

プラットフォーマーとして課金の仕組みを出版社などに使っていただくという裏方に徹していたが、がらっと変えて、自ら配信を行うことを開始した。端末を作り、ストアも自分たちで提供し、課金周りも含め一貫してKDDIでサービス提供している。ユーザにはKDDIからしか請求が来ないので、シンプルに見えるだろう。それまでは携帯電話という液晶画面上でやってきたが、電子ペーパー向けの静的なサイトの制作経験はなく、苦労したポイントである。
株式会社ブックリスタは、ソニーと凸版、朝日新聞社、KDDIとで2009年5月に記者発表。ちょうどiPad発売前日だったので色々な書かれ方をしたが、それはたまたま。昨年秋に事業化。様々なデバイスが登場し、データフォーマットもいきなり統一はされないだろうことから、ストアの裏側を共通化することで効率化していこう、というのが大きなコンセプト。現在はSony向けのReader storeとLISMO Book Storeの二社だが、他にもどんどん入ってきていただきたい。

biblio Leafの購入者の属性

biblio Leafの購入者の属性だが、40代50代が主流で、一番多いのは50代の男性という、過去ビジネスをしてきた中で経験のない事象が起きている。40代の女性も多く、携帯に比べ高齢。その方々が過去どのように携帯を利用していたかを調べると、コンテンツの利用率は多く、いわゆるアーリーアダプタに属するユーザなのではないかと考えている。

マルチデバイス対応とサービスの進化

この先、LISMO Book Storeを、ISシリーズなどau発のスマートフォンなどに展開し、拡げていきたい。
ユーザ同士の繋がりや新しい気づきの提供が重要である。ソーシャルネットワークサービスとの連携、ソーシャルリーディングなどもやっていきたい。また、ビューア・フォーマットも多数出てくるであろうから、その対応を強化する。また、マルチユース、出版社との話し合いが必要となる項目ではあるが一度購入したコンテンツをどのデバイスでも利用できるという環境を拡げていきたい。

今後の展望

今まではコミック・小説・写真集などのパッケージ化されたコンテンツを『ビューア』で画一的に表現するのが主流。これからは、自由に表現するためにアプリを創ることが出来る。雑誌や新聞はその方が表現しやすく、独自の表現・機能の個別アプリ化の流れが強まるだろう。ビューアで見るという方法も残っていくので、二極化というと言い過ぎかも知れないが、二方向にむけて進んでいくのではないか。また、ユーザ自らがカスタマイズする、という流れも出てくるだろう。
従来のビジネスは、通信・課金プラットフォームはキャリアが用意して、その上で出版社などがビジネスするという話だったが、これからは通信だってWi-Fiでいいかもしれないし、我々も一プレイヤーとしてコンテンツレイヤーで勝負してよいのではないか、指をくわえてみているわけにはいかない。対等に勝負していこうと。
各社がどのレイヤーで勝負しようとしているかは、もはや企業名や既存事業からだけでは推測できない状況になっている。
携帯電話の電子書籍の黎明期と似た状況にあると、現状を認識している。ストアもどんどん出てくるし、色々な思いで好きなことをやり始める。コンテンツも色々な形で出てくるので活性化することは間違いない。ユーザも増えていくが、しばらくすると勝ち組・負け組もハッキリしてくる。勝ち組は拡大・成長し、ユーザに対してよりよいサービスが提供できる環境が整っていく。乱立・乱立と批判されるが、黎明期には仕方のないこと。その中でいかに成長していけるか、考えるべきだろう。
我々は、「お客様が本と出会うきっかけをいかに創るか 読書を快適に楽しめる環境をいかに提供するか」を重視する。プラットフォームやデータフォーマットのデファクトを巡る動きがあるが、あくまでユーザ目線であるべき。

質疑応答

権正氏より資料に基づき発表があったのち、次のような課題について質疑応答が行われた。

biblioLeafが対応するフォーマット

Q:biblioLeafでは表示されているのはテキストなのか、テキストをイメージ化したものなか? 読み上げできるのか? 自炊したテキストも利用できるのか?
A:XMDFをサポートしており、テキストを表示しているが、今のところ読み上げ機能はサポートされていない。自炊した資料はmicroSD経由でPDFとEPUBなら読むことができる。なお、XMDFはau独自のDRMをかけているので、au以外のものは対応していない。

Q:フォーマットの標準化についてどう考えているか?
A:フォーマットにこだわるのは出版社である。出版社と話し合わなければできない。基本はコンテンツ側の要望に合わせるようにしている。ただ、auとして基本的な方針はあり、スマホにはXMDF、BSreader、.book、EPUBを積みたい。

Q:これからは独自の表現機能を追加すると説明したが、何か?
A:例えば、雑誌のように出版社が自分の好きなようにレイアウトでき、表現できるビューワーを作るといった対応も進めていきたい。これまでは、そういうことは、各出版社が独自アプリで対応していたが、これからは通信事業者として役に立ちたい。

Q:KDDIは電子雑誌をどうとらえているのか? biblioLeafは完全に書籍向けだと思う。戦略を聞かせてほしい。
A:雑誌であれば、今は「独自アプリ」か「取り込み画像を見せるか」しかないと思う。biblioLeafはそれに相応しくない。スマホでも大変。本格的にやるなら大画面の端末を出す必要がある。雑誌の需要は確実に存在し、客からも出版社からも要望がある。まずは書籍とコミックで足場を固めて、その次に雑誌にいきたいと思う。

Q:LISMO Book StoreのDRMを何にするか、議論はあったのか?
A:それはあった。端末の開発とDRMを切り離すことはできない。他社のDRMを積むと端末開発に余計に時間がかかってしまうので、最終的に独自DRMになった。

Q:独自DRMが広がると、顧客情報の共通化が難しくなるのでは?
A:サーバ側で購買情報や顧客情報を共通化することと、端末でコンテンツのユーセージをコントロールすることとは、ある程度は切り離せると考えている。

現段階での事業評価について

Q:現段階の事業評価を聞かせてほしい。
A:やってみてよかったと思っている。biblioLeafで電子書籍を読んでみて、読みやすさが全然違うと感じた。出版社も喜んでくれている。これまではコミックばかりがフィーチャーされていたが、biblioLeafが出て文芸が日の目を見た。
ユーザーはどうしてもiPadと比べるので、(仕方のないことだが)劣って見られてしまう。利用ユーザーの声では、「コンテンツを充実させてほしい」という意見が多い。また、「どんどん読みたい」という意見もあり、利用者にはおおむね受け入れられていると思う。

Q:私は(ソニーの)Readerを買ったが、とても読みやすい。紙だと裏移りしたりして読み辛い。
A:これは、第1に電子ペーパーであることの効果だと思う。すでに液晶デバイスが普及しており、「液晶で見ることへの慣れ」がある。それに加えて「電子で本を読む」という新鮮さが受けている。

過去の電子書籍ビジネスについて

Q:電子書籍売り上げのグラフで一気に上がった時期があり、「ビューワーが一因」と説明していたが、何が変わったのか?
A:ビューワーが、JAVAベースからBREWになって、快適に動作するようになった。

Q:機能と言うよりはパフォーマンスの向上か?
A:そうだ。

ブックリスタについて

Q:ブックリスタのシステムはauとソニーが提供するシステムで構成されているのか?
A:au、ソニーを含む各株主が得意なノウハウやシステムを持ち寄ってできている会社。今はauとソニーにしかサービス提供していないが、決して2社だけのためのものではなく、ブックリスタのシステムを使ってもらえば、誰でもすぐに商売できるという環境を目指している。これからの話だが、例えばauとソニーのそれぞれの顧客データベースや購買情報などが連携できるようになれば、マーケティングの幅が一層広がるだろう。

Q:auは独自に頑張ってきたと思うが、それでも他社と組むことのメリットは?
A:今までの携帯電話のビジネスモデルのままであれば他社と組む必要は無かったかもしれない。始めたばかりですぐに答えは出せないが、各社が自由に振舞えるオープンプラットフォーム上でビジネスをするにはある程度効率化したり、共通目標を掲げて協力したりすることも必要だと思う。

Q:紙の本ならどこの本屋でも買える。それは取次が全国にきちんと届けているから。ブックリスタはそんな「取次」的な立ち位置を狙っているのか?
A:それも狙っている。ただそれだけでなく電子書店と一体になっているので、取次よりも幅広い業務に対応できる。たとえば、書籍を電子データにするのは紙なら印刷に相当する業務である。コンテンツをお客に届けるまでの、面倒な業務を吸収する事業にしたい。

顧客導線について

Q:顧客導線はどのように変化してきているのか? 今まではバナー、メルマガが主流だと思うが。
A:いままでなら、キャリアの提供するポータルサイトに「おすすめ」リンクを置けばコンテンツに直行させることができた。さらにランチャーメニューに「LISMO Book」のアイコンを置き、そこからコンテンツプロバイダーに誘導することもできた。しかし、オープンプラットフォームではそれがし難い。このことは、どこの通信事業者も一緒だと思う。SNSなどを活用し、いろいろなところからリンクしてもらえるサイトを作って、いろいろなところにリンクを張りにいく。そうやって導線を作っていかないといけない。工夫を凝らさないと客を引っ張れないむずかしい環境になっている。

Q:書店では、「店員のおすすめ」ポップのように、顧客を導くための工夫をしている店がある。意識しているのか?
A:そう思う。その点でソーシャルネット型に期待したいし、独自性を出していきたい。

消費者ニーズへの対応について

Q:消費者としてはどこでも同じものを買えるのが第一だが、次にそれをどれでも読めることを求めている。コンテンツの移動は、auのデバイス間では問題ないようにするという話だが、他社間とはできないのか。
A:コンテンツはクラウドに残し、「ファイルを横移動できるようにする」とか「コンテンツを読む権利を売ったとして管理する」というやり方になると思う。しかし、出版社的には再ダウンロード=2回ダウンロードという意識があり、今は実現がむずかしい。

Q:端末を壊してしまった場合、新しい端末で前に購入したコンテンツを読めるのか?
A:auのDRMは電話番号に紐付けられているで、番号が同じなら他の端末でも読める。

Q:auのサーバーで情報管理して再ダウンロード、といった対応はできないのか?
A:配信自体はコンテンツプロバイダーがやっているので、それはプロバイダー次第。ただ、パソコン向けのソフトの機能を使ってバックアップをとることはできる。

Q:番号が動いたら?
A:買い直してもらうしかない

Q:現在の電子出版は、基本的に儲かる本を電子化しているようだ。しかし、我々は研究書を読みたい。そういうニッチな本も読める(買える)ようにしてほしいのだが。
A:我々もそういう風にしたいとは思う。ニッチな本も揃えたい。

C:最初の質問に繋がるが、そういう本を自炊して(もしくは、電子図書館で)読めるようにできるといいだろう。

コンテンツのオープン化について

Q:コンテンツは今後オープン化の方向に進むというが、どこも苦しんでいるという印象がある。どのようにしてイニシアチブをとるのか?
A:まずは配信ストアを構える。ガラスマ(ガラパゴス的なスマートフォン)を取っ掛かりとし、コンテンツを利用できる端末を増やしていく。イニシアチブを取る前に、このような下地造りが重要と考えている。

Q:オープン化といえども、書籍の品揃えは大事だと思う。現在でも、同じシステムであるはずのリーダーストアとリスモブックで品揃えがかなり違う。囲い込みで特徴を出すのか、それともいずれ同じものをどこでも買えるようにするのがいいのか?
A:囲い込みはあまりしたくない。ただ、営業はこれでしか読めないという売りが欲しい、といってくる。そのため一時的にそういう施策をとることもある。最終的には(町の本屋のように)売り方で差別化する環境を作っていくべきではないか、と考えている。

キンドルとのビジネスモデルの相違

Q:キンドルではWikipediaを見られたり、通信料がタダといったメリットがある。通信キャリアであるauには無料配信などの「売り」があるのか?
A:通信無料にしたかったが無理だった。薄利のビジネスなので、維持費をコンテンツで吸収するというモデルが作れなかった。

Q:キンドルの初代・2代目を参考にしたのか?
A:キンドルに限らず、すべてを参考にしている。キンドルは特に参考にさせてもらった。

Q:スマホでパケ放題の契約をしていれば、通信料は実質無料と見做してもよいのではないか。
A:書籍端末も一月525円で定額だから、同じようなとらえかたはできる。しかし、電話もネットサーフィンもできない。電子書籍ダウンロードのみだから525円なのだ。それ以外も出来るようにすると、どんどん料金が上がる。現状は、可能な限り削ぎ落とした結果である。

電子書籍の価格設定と再販指定

Q:電子書籍の価格設定について基準はあるのか(紙版の○割とか)?
A:基準は作っていない。出版社と相談して決める。ユーザーは安い方がいいので、こちらもそのようにお願いしている。紙の価格の8掛け程度のものも多くなってきている。

Q:電子書籍には再販指定があるのか?
A:ない。
C:これについては、知的財産戦略本部での検討が始まりつつあるところ。紙の本では、初刷り費用とか、流通網の維持とかいろいろな理由を付けて再版指定を受けている。しかし、電子書籍は紙版とビジネスモデルが全然違うので、紙のようにはできない。出版社はやってほしいし、IT関係者はおかしいと思っている。

紙と電子の併存について

Q:紙と電子を併存させていくと言うが、利用シーンが違えば、コンテンツも変わると思う。そこをどう考えているのか?
A:おっしゃるとおりで、携帯だから可能になったコンテンツ・流通もあるし、そこから独自のコンテンツも生まれることもある。

C:有斐閣の「判例データベース」は、判例を確認する際に古い法律を確認できるリンクが貼ってあってとても使いやすい。紙ではとても無理な機能。そのような独自サービスがこれからは生まれてくるのではないか。

Q:ハイブリッド(紙・電子)というコンセプトは、電子書籍端末がまだまだ売れてないから出てきたと思う。au的にハイブリッドをどう考えるか?
A:auでも意識している。

C:そのうち、全ての書籍編集がInDesignを利用するになって、今のようなコストをかけずに、紙・電子が同時に出来るようになるのではないか。
A:しかし、電子ならではの表現とかもあって、一概にはハイブリッドがいいとは言えない。

スケジュール

月日:2月17日(木曜日)
時刻:18時30分~20時30分
場所:東洋大学白山キャンパス3号館2階3205教室