政治 自民党と民主党に情報通信政策を聞く

概要

2009_07_01.jpg 未曾有の経済困難ともいわれる昨今、脱出策の一つとして情報通信に注目が集まっています。アメリカではオバマ政権が全産業分野に情報通信の利点を適用して産業を活性化させようと動いています。電力網を再構築するスーパーグリッド計画では当然、グリーンニューディールでも情報通信は重要な役割を担っています。わが国でも本年6月に総務省の「ICTビジョン懇談会」が最終報告を発表するなど、情報通信重視の方向への動きが見られます。
まもなく衆議院選挙が実施されますが、政権を争う自民党と民主党はどのような政策を掲げているのでしょうか。両党の政策担当者にご出席いただくセミナーを次の通り開催します。

クロストークパネラー

世耕弘成参議院議員
内藤正光参議院議員
松原聡(マニフェスト評価機構・東洋大学)
山田肇(情報通信政策フォーラム・東洋大学)

論点(テーマ):
① ICTを経済・社会にどう活かすか
i-Japan2015、ICTビジョン懇報告を手がかりに
② 「ブロードバンドゼロ地域解消」後の通信政策は?
③ 地デジ移行後の放送政策は?
④ 通信放送融合時代の法と行政の在り方は?
「通信・放送の総合的な法体系のあり方」答申案をてがかりに

レポート

自民党の情報通信政策 世耕弘成参議院議員

 

 

 

民主党の情報通信政策 内藤正光参議院議員

 

 

 

クロストーク

2009_07_04.jpg松原:最初に、ICTを経済社会にどう生かすのかという観点について二点お伺いしたい。政府がスマートユビキタスという言葉を使い水や空気のようにICTを自由に使えるようにする、これが現実に可能となってきていている一方、象徴的なのは、薬のネット販売。どこでいつでも買ってよいはずの薬が、対面販売と言うことでできなくなる。医療などでも遠隔医療についてはまだまだ制約が残ったまま。薬に関しては薬害の問題もあるので、本当によいのかどうか、自民党の立場としてはそれを決めてしまったという責任の観点、内藤さんは野党の立場としての観点でお伺いしたい。

もう一点は、やはりICTの世界で大きな変化はクラウドコンピューティング。霞ヶ関クラウドは官庁内のクローズドな話だが、ユーザーからするとグーグルなどが主流。我々の個人の一つ一つの情報がアメリカのGoogleのサーバーの中にはいるという問題もあるわけで、ICTの新しい段階の問題についてどう考えるか。

世耕:信じられない動き、訳のわからない規制がネットについてもかけられている。薬について、私は最後まで抵抗した。厚生労働省は対面販売を主張。厚生労働省の話でびっくりしたのは、たとえば、Skypeの映像で画面上に出ているベテランの先生のやりとりと、対面でもドラッグストアのアルバイトの人間のやりとり、どっちが信頼できるのかと聞けば、後者だという。理由は、「顔色を見ている」だという(会場より笑い声)。そんなロジックで法規制されたことは残念。実はこの規制は薬事法では規定しておらず、省令。薬事法は全くネットを想定していない。同様に日本の法体系でネットを想定していないものはたくさんある。公職選挙法も同様。この法律はホームページの画面は「文書」として一緒にしてしまっている。今回の薬の件は一つの大きな問題提起だともいえる。

クラウドについて、便利さもよくわかるが、恐ろしさもよくわかっている。私は予定表や連絡先で絶対Googleは使わない。Googleで使うのはマイマップぐらい。私はまだ対象じゃないと思うが、CIAにチェックされては困る。私は日程表やメールはVPNとセットになったセキュアなサービスを利用している。

内藤:もう一度見直す時期にきている。韓国がそうであるように、ありとあらゆるものが入手できる、デジタル何とか権とでもいうべき権利として基本的な法律を作り、徹底的に今の法体系をネットを前提とした形に再立て直しすべきだろう。

クラウドについては私はGoogleが主流。情報も秘書とかと共有しあっている。Googleのファン。一番大きな問題、なぜすべてがアメリカにあるか、ここだろう。著作権、フェアユースの問題で考えると、アメリカだといいが日本ではサーバーが置けない。或いは電力供給の問題、法人税の問題などもしっかりと考えないとならない。しかし、やはり著作権をネットに対応したものにしなくてはならない。このままではGoogleのみならず多くの企業が日本では展開せず、そこから花開くビジネスが日本では生まれない。そのあたりの環境を整備しなくてはならない。

山田:著作権について会場からの質問。通信放送の融合の議論の中、著作権の送信可能化権を作ったのが災いしている。著作権の改正を進めて欲しい。

世耕:デジタルコンテンツ法の提言を東大の中山先生や角川さんとかと進めさせていただいている。今までは著作権を文化庁の檻の中で議論している。デジタルに関する部分だけ、特例をつくる形がいいのではないか。デジタルコンテンツすべてにコードをつけ、管理可能にしていくべきでないか、放送コンテンツで過去公共の電波を使い放送されたものは基本的にはデジタルに乗せる、権利は許諾権ではなく報酬請求権に変えていき、もちろん報酬は支払うが、嫌だという場合だけは嫌だと登録しておく。たとえば、国会議員でタレント時代のグラビアを載せたくないという場合、それを宣言しておけばそれは除けられる。どうしても権利者が見つからない場合はデポジットしておいてあとで解決する。NHKの方、何人かお見えだが、NHKオンデマンドは結構危ない橋を渡っている。NHKオンデマンドは権利者と契約を結んでいる形になってはいるが、すべてが許諾とれているわけではなく、見つかってない権利者が出てきて訴えだしたら法的に持たない。一日も早くデジタルに特化し権利関係を整理した法体系を整備すべき。

内藤:これからのものについてはネット上での二次利用をふまえた契約でいい、問題は過去のコンテンツ。NHKの川口アーカイブにも行ったが優良なコンテンツがたくさん眠っている。二次利用に関するコストはたくさんかかり、NHKだから出来るが小さな事業者では出来ない。過去のコンテンツについては一定の基準を作り、それをクリアしたらネットに載せ、後から訴えられても裁判にならず、権利者も妥当な金額を請求できる仕組みを作るべき。

山田:お二人が一切触れられていない話としては、障害者や高齢者にも利用できる機器、サービスでなくては調達しないということがアメリカでは実行されているが日本では?

内藤:政府の調達機器について、一定の基準を満たす法規制が必要と訴えている。障害者の操作に特化した機器はコストが高くなる。しかし、どんな人でも使えるように標準化してしまえば全体的なコストはやすくなる。少なくとも国が調達する機器はユニバーサルデザインでなくてはならないという義務づけをすることで日本全体のデジタル機器をそうした方向へ行こうという考え方。

世耕:基本同じ。クローズドキャプションがなかなか義務化されなかったなど出遅れた面があったので改めて行かなくてはならない。

松原:ブロードバンド地域ゼロ地域解消、これは2010年度ということだが、それ以降の通信政策について。NTTの組織問題について2010年から議論すべきという観点について、その必要はないという世耕先生からはっきりしたご意見が出た。

一点お伺いしたいのは、私自身が書いてまとめた『通信・放送の在り方に関する懇談会』の報告として、NTTの独占性に対して、アクセスについてはオープンであるべきと当然申し上げた、その上で、何を書いたかと言えば、NTT東西の業務範囲規制によって、本来のNTTのポテンシャルが発揮されず、世界最先端のサービスが提供されないという事態にもなりかねない、要するに守られているのではなく邪魔されているのではないか、その辺りを外して行かなくてはならないのではないかという点を明確に述べた。NTT持ち株会社について郵政と同じく政府設立の株式会社になっているわけで、某・前大臣のような方が現れれば、NTT持ち株会社の社長を絶対認めない、ということもあり得るわけで、そうしたことをふまえて考えたとき、今の法体系組織体制が本来のNTTのパフォーマンスをしっかり発揮させていけるのかという疑問を持った報告書だった。この観点について。

世耕:(通放在り方懇時に、)竹中さんとも松原先生との話をさせていただいたことを思い出した。東西の縛りを解かなくてはならないという考えを持って頂いていたことはよく理解している。NTTの経営形態見直しの議論をすべきではないと言ったわけではなく、NTTのあり方を様々な人間が議論をせずとも、NTT経営者が経営判断で自ら考えればいいのではないかと申し上げた。その中でトレードオフというか、ここは切り離すからこれをやらせてくれ、ということを言ってもらい、政治や行政はもっと別のことに注力すべきだろう。

内藤:自分も考えは変わらない。NTTは多くの株主を抱える民間会社で、行政や政治があれこれいうべきではないと考える。行政や政治がやろうとすると政治論になるがそれがユーザーにとって良いのか。auとKDDIはそれぞれ無料で通話できるのにNTTとDoCoMoはそうではない。これがユーザー視点の規制といえるのか、そうしたこともふまえ、NTTの経営者がユーザーの立場に立ちどういう組織形態をベストと考えるのか、そこを考え議論をスタートしなくてはまたいびつな議論となってしまう。いまや通信も放送も融合し、マーケットがどんどん融合している中で競争の在り方、状況を見て議論しなくてはならない。

山田:会場からの質問二つ。人口がゼロになるような地域にブロードバンドゼロ解消政策を行う意味はあるのか。放送は基本を光ネットワークに切り替えるべきという考えはあるのか。

内藤:どう答えていいか難しい議論で卵が先か鶏が先かという話だが、情報インフラ網は、産業にとっての畑のようなもので、芽が出てくる可能性があるならば耕す価値もあるが、芽が出てこない、採算がとれないところは中々耕さない。採算性が絶対とれないところに民間が設備投資することも、それを行政が強制することも難しいだろうとは考える。

光ネットワークについては、受信者・視聴者としてはそのコンテンツがみられるということが重要なので、ここまでブロードバンドが普及した今日、光ネットワークを活用した放送の配信を視野に含めた法改正も行って行かなくてはならないかなと考える。

2009_07_02.jpg世耕:ブロードバンドゼロ地域というと限界集落をイメージされるかもしれないが、線が届いていないということなので、少々イメージが違うかもしれない。必ずしも需要がないところに届ける、という話ではない。個人的にはブロードバンドゼロ地域解消という言葉は、あまり好きでは無い。やはり「インフラ有りき」の議論になってしまっている。自治体の皆さんはとにかく光を引いてくれといわれるが、「うちの自治体としてこういう風に使いたい」といってほしい。教育なり医療なり介護なり、こう使いたいからこう光を引いて、こういったアプリケーションを走らせてくれ、という話で来ていただきたい。また総務省や厚生労働省がこういったアプリケーションを使えるという提案を自治体に対してできているわけでもない。

放送を光ネットに置き換えるべきか否か。私の地元でもCATVに置き換わり、それを通じてデジタルでみられる。しかしCATVに入っていない一部の人が見られない。そのわずかな人のために、そこに放送局が電波を届けるコストをかけるか。効率でみれば、そうした方にCATVに入っていただいた方が効率よいわけで、その辺りが議論になっている地域もある。ただ、危機管理を考えたときには電波の放送も無視できない。最後のシビルミニマム、最後のラストリゾートとして、全く無いというのは怖い。何らかのバックアップとして電波による放送は残すべきではないか。

松原:この点について申し上げたいのは、光ファイバーのネットワークが、スマートユビキタスの基幹インフラなのだから、私はむしろ限界集落ほど光インフラが引かれるべきだと考える。そのことによって、今はどのような限界集落でも郵便もヤマトもサービスを提供しているが、そういうところこそ、薬は薬局が無くてもネットで買えば届く、医療についても遠隔医療ができるなど、光インフラの整備がしっかりすることで他の負担も軽くなるのではならないのか。

山田:関連した質問がある。一県4波などの体制を今後も維持する必要が政治的にあるのか。

世耕:党としての見解を述べる域は超えているが、これはどうみても維持できるわけはない。注目してみているのはBSデジタル。今番組がよくなってきている。TBSも黒字に転換。私は恐らく、キー局は何らかの形でBSから降らせて、ローカル局との関係は中期的には切れていくのではないかと考えている。一方ローカルをどうするのかという問題はある。今回の補正予算でもローカルが危ないということでテコ入れ予算を入れている。またローカルのコンテンツ作りにも補助金を出している、ローカルの番組が東京で売れるように51億円ほどの予算もつけさせていただいている。和歌山のニュースを見たい人は和歌山でなく東京、東京のニュースを見たいという人は和歌山にいるのではないかと。ローカルから東京へ情報を発信している上で(インター)ネットを使っていく形態は近々考えざるを得ないのではないか。

内藤:電波・チャンネルはあまるほどあって何を流すのかという話。大切なのは地域の情報発信力をいかに高めるのか。地方でテレビをつけても東京の番組が流れている。果たしてそれで良いのか。どんどん地域の情報発信力がなくなっている中で、いかに地域の情報発信力を高めるか。やはり制作会社へのテコ入れ、支援策が必要。たとえばフランスは文化を育成するという観点でお金を集め基金として制作支援している。そういった施策を東京のみならず全国津々浦々でやることで地方の情報発信力を高めていくべき。

松原:大変おもしろい議論だと思う。やはり日本には127のテレビ局があり、キー局が5つ、地方局は122あるわけで、今の議論となっている県域免許というのは、結果的に127局体制を維持していく上で不可欠な制度となっている。県域免許を見直すということは127局体制そのものを見直すということに繋がる。「在り方懇」で報告書を出す段階で、127の放送局の経営を揺らがす報告は私は出せない、127局体制は旧郵政が進めてきた政策の結果であるわけで、その責任を負っているというものの申し上げ方をした。しかし世耕さんはあっさり見直すと言った。内藤さんも地方の情報発信力をつけるという観点はお題目としてはよいが、県域免許を見直すのかお聞きしたい。

世耕:急に見直すのは難しいが、徐々に徐々に見直す。認定持株会社もその流れ。実際に現場が混乱しないようにうまく収束するステップを踏んでいくべきだろう。和歌山は関西広域圏で地元局は独立U局しかないので、私はこの話題について結構自由にいえる (会場より笑い声) 。

内藤:正直言って地方の経営状況を考えると127維持は難しい。放送法改正で認定持株会社制度の法改正があった。県域免許のフェードアウトと併せて、地域の情報発信力を高めていくという、両方の施策を平行して実施することが大切。

山田:放送のデジタル化の後の空き周波数、もしくは放送が持っている周波数。世耕先生はホワイトスペースという考え方。内藤さんの資料ではオークションまで言及しているが、新しい周波数の考え方をお伺いしたい。

2009_07_03.jpg内藤:今後地デジ移行でかなり空くということだが程度の問題だ。私たちはオークションを主たるものとするというわけではない。管理的にしっかりやっていくが、民間の活力を引き出す上で部分的オークションも重要と考える。大々的にやって参入の障壁を下げるかというと、私はそうは思わない。古い話だが、イギリスやドイツで大々的にやった結果、3Gへの参入が大幅に遅れたという事例もある。大きな資本が買い占め小さな資本が参加できないといった問題も考えられる。オークションでなく電波を貸し、MVNOといった技術もあるわけでそうした面で参入を促すなどのやり方もある。

世耕:オークションには慎重。特定の資本がバサッと買い占める、買うことに体力を使い切るなど様々な懸念がある。一部入れてもいいかもしれないが、慎重であるべき。地デジの空きスペースは今後二度と出てこないであろう大量の空きスペースであり、この分野は日進月歩の世界。ついこないだまでWiMAXがすごいと言っていたが今はもうLTEといわれている。様々な切り口の観点があるので議論の余地がある。周波数はよほど戦略的に配分していくべき。ホワイトスペースについてはアメリカの広大な土地でホワイトスペースというのが日本の混み合った事情に合うのか。アメリカも周波数のデータベース管理に相当手間がかかっている。日本でやれる可能性があるのであれば無線LANなどに使っていない周波数を割り当て、ブロードバンドが便利に使えれば検討の価値があるが、そう簡単なものではないだろう。

松原:通信・放送の融合法制をつくる時に、ただ複数の法律を一つにまとめるだけでは意味があまりなく、通信・放送融合に対応する中身が盛り込まれるか。その上での目玉として、無線局が放送・通信を共用して良い形の免許を出したい、という方向に議論が進んでいる。

そうすると、もうひとつの大きな問題が出てくる。今、放送向けの電波の利用料は安いが、通信向けは非常に高くなっている。内藤さんにお伺いしたいのは、民主党の掲げる政策INDEXの電波の有効利用の項目で「電波利用料に電波の経済価値を反映させることによる電波の効率的利用促進」とあるわけで、これを裏返せば、現状は経済価値が電波利用料に反映されていない、ということになる。放送が安すぎる、通信が高すぎる、ということを前提として変えていく、とも読める。また、同じ話で、オークション制度についても「オークション制度を導入することを含めた」とかかれており、これはそうとうポジティブな表現となっている。

電波の利用について、放送・通信を共用させるとなった時、現在の放送の電波利用料は、本来の経済的価値よりはだいぶ低いわけで、私自身は若干ネガティブだが、価値をマーケットで決めるという事についてオークションというのは市場からするとわかりやすい。これが民主党の文章としてかかれているということは踏み込んでいるなと感じるが、先ほどの内藤さんの話は、この指針とではニュアンスの違いを感じるのだが。

内藤:この通り読ませていただいたつもりだ。適正な価値を定めることは確かに難しい。どれほどの人に影響を与えるのか、どういった使い方をするのかでかなり違ってくる。かといって、すべてをオークションにゆだねるというのは難しい。方針としてこういう書き方をしながらも、電波の適正な利用価値を追求されている研究者の方もたくさんいるのでそうした方々の意見も聞きつつ対応していきたい。

山田:会場からの質問。日本版FCCについて。放送はまだわかるが、通信に関して、総務省の監督では何がまずいのか?

松原:民主党のインデックスでは、通信放送行政を独立の委員会に持って行くというわかりやすい方向性が示されている一方で、経済産業省にある商務情報流通局などを束ねて情報通信省を作るべきという議論もある。そして、内藤さん自身のお話の中でIT担当大臣は兼担ではなく専門担当の大臣を置くべきという発言もあった。委員会を作るという考え方と省をしっかりして大臣をおいてという考え方、どちらが通信放送政策にとって好ましいのだろうか。。

世耕:FCC方式が理想のようにいわれているが、実際には生々しい。二大政党制なのでバランスはとれているとはいえ、大統領が任命する上で政府の意向は強く働く。少なくとも通信政策について、FCCは今の総務省とそんなに変わらないと考えている。日本はどうあるべきかといえば、経産省と総務省が縦割りで、その上にIT担当大臣を乗っけているというややこしい現状が一番の問題であり、やはり情報通信省、情報産業省と一本化し、端末から伝送、アプリケーション、コンテンツに至るまでバランスのとれた産業政策をとるべき。

内藤:なぜ総務省が管理・監督してはならないか。現状の結果、今の裁量行政なり事前規制が守られてしまう。やはり、企画するところは企画するところ、そのルールに則り監督するところは監督するところと分けるべき。ルール型行政の事後規制。刻一刻変化する技術を前に、事前規制では限界がきているのではないか。今の総務省が何でもかんでも見るというのは我が国の発展にとってよくない。

山田:産業政策と規制政策が混ざっていることが問題で、これがガラパゴス製品をたくさん生み出している。会場からの質問。情報大航海や京速コンピューターなど、政府主導し失敗しているプロジェクトがたくさんあるが。企業の自主性にゆだね、税金の無駄な投資はやめるべき。

世耕:それは全くその通り。電子政府は別だが教育とか医療は是非、民にやって貰いたい。

内藤:正直言って国が「あーだ、こーだ」口を出してロクなことはない。戦後からの復興の何十年か、官僚の皆さんはすばらしい働きをしていただいたと思うが、現在は大方針を国がたて、その後の具体的な部分は民でやっていくべきだろう。シンガポールでは日本の民間企業がうまく入り込んで、10年以上前に料金徴収としてではなく、トラフィックコントロールとしてETCが導入された。シンガポールが大方針をたて一気にやったからだ。教育も同様、生徒一人一人の潜在能力を引き出すためにどうしたらいいか、大方針は国が示しつつ、具体的に作りあげる部分で民間にゆだねるべきだろう。

山田:電子政府に関する会場からの質問。電子政府の使い勝手が悪いのは技術ももちろん悪いが、それ以上に法律のよる制限、例えば様式が特定されているということがたくさんある。そういう子とについて法律改正が必要と理解されているのか。

世耕:様式の問題はある。特に添付書類。電子政府にしても異常な量の添付書類があり郵送しくてはならない、となると電子政府にならない、という問題。日本の最大のネックは背番号がないこと。ばらばらで管理されている、これが大問題。それを何とか疑似的に回避出来ないかという事で電子私書箱という形で私書箱を一人ずつもってもらい、そこに行政の情報や伝達事項が入っていく、というやり方を考えている。背番号を付けるんじゃないですよ、という形で乗り切れないだろうかというのが今の電子私書箱のやりかた。本来は背番号があるべき。韓国もスウェーデンもアメリカも全部あるが日本だけ無いというのが電子政府を進める上での最大のネック。

山田:電子政府のガイドライン作成委員会での話。利用者から苦情がきているというと、各省庁の意見は、「我々は国民の税金を使ってシステムを作っており、したがって欠陥あるシステムは最初から作っていない、完璧」だという。でも直しているのではと聞くと、法律改正があったらやむを得ない事情で修正をするとのこと。ソフトウェアは改善していく中で完成度を高めていく者だが、予算主義ではソフトウェアをよくする話が出来ない。

世耕:それはそれで大きな問題だ。

内藤:電子政府に野党は関与していないので想像の話でしかないが、政府はわかりやすい資料を作る気がないのではないか。同じ予算でも、国民目線で作れる資料を作るということがあればいいのではないか。

松原:先ほどの通信・放送独立行政委員会の話で、内藤さんは国民の政府に対する権力のチェック機関であるべきマスコミを行政がチェックしている事の不自然さを考えれば、行政がコントロールするよりは独立行政委員会にした方がいいとおっしゃった。その事は非常に理解出来る。それに関連し、クロスメディア規制。日本でいうところのマスメディア集中排除原則。ラジオ・TV・新聞、この兼業はダメなんだと、これが今の日本の規律だが、しかしそれが現実には例外措置が原則になってしまっている。読売新聞が日本テレビを持っている、そして今回、テレビ朝日と朝日新聞の資本関係が強化された。こうした、アメリカではありえない、ラジオ・テレビ・新聞の兼営というものが、マス排があるのにも関わらず日本では認められている。

民主党が政権を取る時に、このマス排に関する記述がわからない。是非を含めたあり方を検討という時に緩和の方向で検討していくという様に受け取れるが、本当にそうなのかというのが一点。やはりマスコミは強大な権力であり、それで本当にそれで良いのかとい事は、民主主義の国、アメリカは判っているのでラジオ・TV・新聞は一緒になれない。メディアは相互批判が大事。しかし、残念ながら日本ではそれができていない。

私は(在り方墾の座長を引き受けたことで)ラジオ・TV・新聞のセットで随分攻撃された。こうした経験も踏まえ、どの方向でマス排を考えているのかをお聞きしたい。マスコミ自体が権力でラジオ・テレビ・新聞事実上、一緒になっている事を是認するのか否か。

内藤:むしろこの表現は、安易な緩和はさせないという趣旨。前段に、表現の多様性を確保するために、マスメディア集中排除原則のあり方を検討する、となっているので、これは安易な緩和はしないという形で受け止めた方が良いかと。

 

会場質問

質問者1:ダウンロードの違法化、薬事法の改正、これらのはパブリックコメントでは大多数の反対にもかかわらず反映なく政策は通る。IT時代に向けて、ITを利用した民意の集約の方法を作るべきではないかと考えるがアイディアを伺えないか。

世耕:薬事法の時は、圧倒的多数がこのまま続けてくれというパブコメであったのにも関わらず、厚労省は中身すら見せなかった。どういう意見が来ているのか公表しなかった。非常に問題だ。問題に対する答えは簡単。オープンにやれば良い。これはもうネットだろうか紙だろうが来たものは全部公表してこういう意見が来た、これだけの意見が来たという事実に基づいて、しかしそれにも関わらず、役所としてはこのスタンスをとった、というべき。

内藤:審議会のあり方自体が問題。委員の選び方から決めることまで、お役所のストーリでお膳立てがそろっているのも事実。

質問者2:普通にテレビをつければ、外国のテレビ番組を見られる、という形になってほしい。

世耕:今、ネットでCNNやBBCは見ているので、そういう流れなのではないか。そういうところでブレイクスルーがあるのではないか。

質問者3:世耕さんにお伺いしたいが、デジタルコンテンツに特化したデジタルコンテンツ法は、著作権法との関係はどうなっているか。

世耕:民間と共同で試案を作らせていただいている。が、文化庁、権利者団体とは折り合いがついていない。権利者等は個別の契約で解決できるという立場。私たちは個別の契約では遅い、という立場。NHKオンデマンドは個別だが、成功しているとは思えない。訴訟リスクを抱えている。情報は公開しているので是非みていただきたい。

松原:今の問題は難しいところがある。放送側のコンテンツを放送上で二次利用する分には問題ないが、通信で利用すると再許諾が必要となる、といった問題がまず一つ。そして通信側は、放送に入れて貰い放送と同じような権利処理で番組を作れた方が楽、という話だが、放送側には番組準則などによって一定の規律の下、放送の二次利用の許諾等権利処理が簡略化されている経緯がある。これをデジタルコンテンツ全体に拡大して解釈するとなると、通信のコンテンツの中身についても規制するのかという別の問題も出てくる。この辺り、どのようにお考えか?

世耕:私が議論してきたのは過去のコンテンツについて。過去の番組については、放送業界はいい加減だった。映画は完璧に権利処理を行い、権利を買い取っているが、テレビは安く番組を作るという形の結果、契約が曖昧、いい加減になっておりネット流通に適さない、ということでこれをどう円滑にするか、という話。規律について実感しているのは、自民党が民主党を否定するネガティブCMを作った。これはネットでは流せるが放送では絶対に流せないという事など。

質問者4:内藤さんの方から出てこなかったホワイトスペースについて、INDEXに入っていないが民主党としては検討していないのか。ホワイトスペースをオークションにかければ財源問題も解決するのではないか。

内藤:検討していない。

質問者4:検討していないのは、問題だ。

山田:あまりに古い技術に基づいた、周波数配分は見直すべきでは無いか。例えば自営無線など。この辺りを見直せばまだまだ空き地は出てくるのではないか。

世耕:MCAとか、死にかかっているところにまだまだ不要な帯域を大量に割り当てている。それはしっかりやるべき。地デジも色々言われているが全く効率の悪い放送ビジネスをある程度のところに圧縮しその分空き地を作り有効利用するというのが狙い。また、山間部などはホワイトスペースで周波数帯が確保できれば、それで無線でブロードバンド、ということも可能だろう。

内藤:いいところに公共的な電波がポツンと押さえられていてなかなか周りが使えないということもあるので見直しはしていくべきだろう。

レポート監修:山田 肇/松原 聡
レポート編集:山口 翔

紹介記事

本シンポジウムに関するレポートがITPro(日経BP社)および、「日刊文化通信速報」(文化通信社)7月28日号、29日号に掲載されました。
※ITPro掲載記事はLinkIconこちら(記事のページに移動します)

<プログラム>

2009年7月24日(金) 18:30~20:30

総合司会:山田肇(情報通信政策フォーラム・東洋大学)
18:30  自民党の情報通信政策 世耕弘成参議院議員
19:50  民主党の情報通信政策 内藤正光参議院議員
19:10  クロストーク・会場との質疑
20:30  終了

<会場>

虎ノ門パストラル新館6階 ロゼ
・地下鉄日比谷線神谷町駅4b出口より徒歩2分
・地下鉄銀座線虎ノ門駅2番出口より徒歩8分
※詳しくはこちらをご覧ください。

<会場費・資料代>

2,000円 ※情報通信政策フォーラム会員、マニュフェスト評価機構会員は無料
(会場でご入会いただけます ※情報通信政策フォーラムのみ)

<定員>

120名 ※先着順