カテゴリー別アーカイブ: 平成29年度

ICPF×アゴラ緊急シンポジウム「電波改革で訪れるビジネスチャンス」

日時:20171219日(火)183020201800受付開始)
会場:エムワイ貸会議室四谷三丁目 ルームA
160-0004 東京都新宿区四谷3-12 丸正総本店ビル6F
登壇者:
原英史(規制改革推進会議投資WG座長)
山田肇(情報通信政策フォーラム理事長)
池田信夫(株式会社アゴラ研究所所長)
真野浩(株式会社コーデンテクノインフォ代表取締役) 

原氏の講演資料はこちらにあります池田氏の講演資料はこちらにあります

「電波改革で訪れるビジネスチャンス」と題して規制改革推進会議の答申について議論するシンポジウムを開催した。以下はICPF事務局による要約である。 

すべてがインターネットに接続され(Internet of EverythingIoE)、産業・医療・交通・環境・教育・防災など多様な都市機能が統合され効率よく提供されるスマートシティが実現されようとしている。IoEやスマートシティ時代の電波利用は今までとは全く異なるものになる。新時代を展望して、電波行政の改革方針が答申として打ち出された。 

答申が強調する電波発射状況調査によって使用頻度が低い免許人・周波数帯が明らかになれば、返納させたり他の用途と共用させたりする「電波の区画整理」が実施できる。 

今までは周波数や変調方式といった物理的な規定とその上での利用形態を統合して電波免許を付与してきた。これからは物理的な規定と利用形態を分離すべきである。無線ネットワークはIP網として構築し、その上でいろいろに利用するのがよい。無線IP網自体は利用形態(サービス・コンテンツ)が異なっても変える必要はない。 

今まではある免許人が撤退したのち、次の免許人がサービスを開始するまでに長い空白期間があったが、無線IP網の形式にすれば空白期間はなくなる。同じ無線IP網のうえで多くのサービス提供者が競争するという形態での市場競争も実現できる。また、使用頻度が低い旧免許人は他社が提供する無線IP網を利用すればよい。 

無線IP網のうえを流れるサービス・コンテンツが利益の源泉である。無線IP網自体は多様なサービスを支えるインフラであり、水道事業が最低限の利益で営まれているように無線IP網から多くの利益は期待できない。したがって、無線IP網のための電波をオークションにかけても高額で落札されることはない。 

オークションの実施は電波改革の中心的な課題ではない。無線IP網を水道網のように公営で構築することすら考えられる。区画整理をして空き周波数を作り、共用を基本とした新しい利用形態を実現することが電波改革の焦点である。

テレビ放送の価値は多額をかけて制作されるコンテンツである。電波を飛ばして視聴者に届ける伝送が価値ではない。コンテンツの伝送路として無線(デジタルテレビ放送)があり、ケーブルテレビがあり、ネット同時送信が今後提供される。電波改革は、テレビ局にとっては価値の高いコンテンツを配信するルートが増えるチャンスである。ただし、著作権法が(無線)放送、有線放送、ネット送信を相互に異なって規定している点など、電波以外にも改革を求められる法制度が存在する。 

多様な利用形態の無線網の共用は公共用電波でも進めるべきである。答申では公共安全LTEの構築が提言されているが、その方向を向いた施策であり、電波の有効利用を加速する。

セミナー「自動走行バスの現状と今後」

日時:10月24日火曜日18時30分から20時30分
場所:エムワイ貸会議室四谷三丁目 会議室B
東京メトロ四谷三丁目駅前、スーパー丸正6階
司会:山田 肇(ICPF理事長)
講師:大澤定夫(SBドライブ株式会社) 

大澤氏の講演資料はこちらにあります

大澤氏は冒頭、次のように講演した。

  • SBドライブは通信・IoTのソフトバンク、ビッグデータのYahoo! Japanと自動運転技術の先進モビリティの3社が出資して2016年に設立された自動運転ベンチャである。バス型の自動運転モビリティを目指す、交通事業者向けにBtoB事業を展開をポイントとして、自動運転の時代の運行管理を支えるICTサービスの用意を目指している。
  • バス型自動運転には、ドライバー不足、バス会社の7割が赤字、廃止路線の増加、買い物弱者が増加といった公共交通の課題解決に貢献できる可能性がある。将来的には先進国で少子高齢化が進行するため、日本の自動運転バスが海外でも活躍するビジネスチャンスがある。
  • 経済産業省の平成28年度スマートモビリティシステム研究開発・実証事業専用道路での走行を試みたが、SBドライブはその先を行く他車も走行する一般道で特定ルートを定時運行するモビリティを2018年度後半に実現することを目指している。
  • 実際の交通状況とニーズを軸に考えるため、現時点で4地域と協定を締結している。地方都市モデルとして福岡県北九州市、中山間地域モデルとして鳥取県八頭町、観光地モデルとして長野県白馬村、地方都市で地域の自動車メーカーも巻き込んだ静岡県浜松市である。また、内閣府を始めとする国家プロジェクトに参画し経験を蓄積中である。
  • 将来的には交通事業者に対するBtoBビジネスとして、サービスと車両をパッケージで提供予定である。バスによる公共交通で課題である運転手の人件費が、より低額の運行管理システム運用費に置き換えられれば、ビジネスとして認知されるだろう。これがSBドライブのビジネスチャンスである。
  • 自動運転技術は認知→判断→制御の三要素が連なって成り立っている。認知に関わるセンサ類や判断に関わるGPUなどは価格の低下が著しい。3Dマップ・GPSなど複数の組み合わせで 自己位置推定を行うことが可能になり、AIを活用した障害物認知等の信頼性が大幅に向上している。
  • 2017年3月の沖縄・南城市での実証実験はレベル2.5ぐらいで実施した。アクセルとステアリングを自動化し、海外沿いの交差点のない一般道を片道1㎞走行した。運行管理システムの動作検証、ロボットによる社内アナウンス、バス停への4cm程度の近接停車(正着制御技術)、障害物回避を実証した。交通事業者を中心にモニター-調査を実施したが、乗車前には不安との回答が大半を占めた。しかし、説明と乗車後は安心が大半を占める結果となった。

ICPF事務局注記:レベル2は部分自動運転、レベル3は条件付自動運転、レベル4は高度自動運転で、レベル3まではシステムが要請すればドライバーが対応しなければならない。

  • 6月から7月にかけて石垣島で実証実験をした。新石垣空港~離島ターミナル(片道16km)で最高速度40㎞、アクセルとステアリングを自動化したレベル2.5ぐらいである。交差点での信号待ちなど、南城市に比べて本格的な実験となった。街路樹がある道路ではGPSが検知しにくく自動走行制御がむずかしいなどの課題も発見された。
  • 7月には芝公園で、フランスNAVYA製のARMAを用いて1周150mをレベル3で走行する一般公開試乗会を実施した。ARMAは世界25カ国で10万人が乗車した世界で最も走行実績のある自動運転バスである。

講演後、次のような質疑があった。

自動走行バスの技術等に関する質疑

質問(Q): GPSが街路樹に邪魔されるという話があったが、準天頂衛星で改善されるのか? 今はトンネル内を走行できないのか?
回答(A):改善されるだろう。トンネルなどGPSを検出できない場所では縁石や白線を検出して走行する方法などがある。
Q:道路に電磁誘導のラインを敷設する方式と比べてSBドライブの自律走行方式は有利なのか?
A:走行距離が長ければ電磁誘導のラインを敷設するインフラ協調型は不利になる。しかし、自律走行といってもトンネルなどでは周囲から誘導する可能性もあり、一部分はインフラ協調方式となるだろう。
Q:NAVYAのARMAがレベル4で走行している国はあるのか?
A:スイスの観光地で走行している。

ICPF事務局脚注:スイス・ヴァレー州シオン市で自動走行バスのサービスが提供されている。

自動走行バスが発揮する価値などに関する質疑

Q:レベル2では効果がないのではないか?
A:レベル1の自動ブレーキなどがすでに自動車に装備されるようになってきた。それだけでも事故低減の効果は出ている。レベル2でも公共交通に貢献する部分はあるが、目標はドライバーが不要になるレベル4である。
Q:南城市での実証実験で乗車後も不安を感じたという回答者が出たのはなぜか?
A:回答者は主にバス事業を営む交通事業者であった。彼らの中には自分の運転と比較して不安を感じた人もいた。石垣島では一般人を乗せたが、拍手が出るくらいに好評だった。
Q:バス運用者の態勢に影響は出るか?
A:始業前点検など運用者がすべき作業は変わらない。ただ、自動走行バスの部品の消耗度などは自動測定できるので予防保全に移っていくだろう。
Q:過疎地のほうが対向車も少なく信号もない。最初のターゲットなのか?
A:その通りだが、都会での運用も目標にしている。

自動走行バスに関わる規制緩和などに関する質疑

Q:講演中の動画では、バスの運行が集中管理センタで管理されているようになっていた。集中管理センタに人が付いているのでは人件費は削減できないのではないか?
A:国は安全最優先で集中管理センタに人が付くのを求めている。道路交通法はジュネーブ条約に沿った法律であり、車の操縦は人が行わなければならない。操縦する人が必ずしも車の中にいる必要はないと警察庁は解釈して、集中管理センタ方式をガイドラインで定めている。
Q:今後、レギュラトリーサンドボックスで実証実験をする予定という話が出たが、サンドボックス内では集中管理センタ方式を外すのか?
A:安全最優先なので集中管理センタ方式である。ただ、今までは集中管理センタの監視者にも2種免許を求めていたが、これがサンドボックス特区内で緩和されるとありがたい。実車を運転するスキルが不要となれば、それだけでも経費削減に役立つだろう。

次いで大澤氏は規制等に関係する事項として次の五点を指摘するスピーチを行った。

  • 地方の自動運転に関するバス購入費の助成金、運用費に対する助成金が必要になる。2012年のEV向け充電スタンドの助成金規模およそ1000億円が求められる。
  • 信号情報を車両が取得できる環境を早急に整えて欲しい。
  • 実証実験としては専用道路、優先道路でない混在交通での推進が求められる。
  • 自動運転車に対するいたずら、迷惑行為に対する罰則強化などの法整備が必要になる。
  • 各省庁に跨る各種申請に関するワンストップ窓口の設置を求める。

助成金については、補助に頼るのではなくビジネスとして自立できる必要があるという意見、ユニバーサルサービス基金を創設して都会の利用者が負担する制度がよいという意見が会場から出た。
信号機との協調については、信号色の検出などは自動車業界全体として取り組むべきという意見と、青赤黄色で情報を伝えるのではなくデジタルで交通を制御する方向に自動車業界全体として取り組むべきという意見が出た。
申請窓口のワンストップ化については、電子申請全般の課題として解決すべきという意見が出た。

セミナー「客観的な根拠に基づく政策形成」

日時:9月28日木曜日18時30分から20時30分
場所:エムワイ貸会議室四谷三丁目 会議室B
東京メトロ四谷三丁目駅前、スーパー丸正6階
司会:山田 肇(ICPF理事長)
講師
宮部勝弘(内閣官房行政改革推進本部事務局企画官)
上瀬 剛(NTTデータ経営研究所パートナー)

宮部勝弘氏の講演資料はこちらにあります。

上瀬 剛氏の講演資料はこちらにあります。

冒頭、司会(山田氏)が次のようにあいさつした。

行政策は必要性と有用性と効率性で評価されるべきである。特に有用性と効率性は数値で評価するのが適切な項目である。根拠に基づく政策形成(EBPM)は、施策の事前評価・事後評価で活用されるようになるだろう 

宮部氏から次のような講演があった。

  • EBPMに明確な定義はない。政府としても手探りの状態である。一方でイギリス、アメリカを中心に取り組みが進展している。Evidenceとは何か、これは単にDataではない。「政策がアウトカムへ影響を及ぼした因果関係」といった定義も存在している。
  • わが国では、「官民データ活用推進基本法」によって「データ活用により得られた情報を根拠にして行政は行われる」と規定された。また、統計改革推進会議で「欧米ではEvidence Baseなのに日本はEpisode Base(業界の声、担当者の印象など)で施策が実施されてきた」との指摘があった。
  • 山本行革担当大臣が統計改革を宣言し、大阪学院大学の三輪教授を大臣補佐官に任命した。それが、一連の動きのきっかけである。その後、統計改革推進会議が設置され、EBPMとともにデータの整備を促すことになった。一例がGDP統計での「サービス部門統計」の充実である。
  • 統計改革推進会議は、官房長官を議長に、行革大臣、経済財政大臣、総務大臣、財務大臣、経産大臣、日銀総裁(日銀は統計データの作成者というだけでなく、ヘビーユーザーでもある)有識者9人で構成された。
  • 体制を作り、各府省の理解も得つつ徐々に浸透させる方針が三輪補佐官から説明し、了承された。その結果、各省にEBPM推進の責任者を置く、統計の改善(問題を解決する、統計が使われているかを確認する)と、政策の改善を図るEBPMサイクルを確立するなどが提言された。
  • 各省のEBPM推進統括官が集まるEBPM推進委員会が設置された。ここで、統計等データの提供についてガイドラインを策定する。研究者からの多くの要望・苦情(データの提供が遅いなど)が寄せられてきたことも背景としている。公益性、機密保護を維持しつつ、提供を容易にする方向である。
  • EBPMの推進や統計の改善のために、どういう人材を確保・育成するかは現在検討中である。年度末を目処に検討を進める。職員には基本的なリテラシーは身につけてもらう(データ分析までできる必要はないが)。
  • 3本の矢による先行取り組みとして、秋の行政レビューはEBPMの発想でも実施することにした。事業をいくつかピックアップし、レビューを模擬セッションで試行したところ、事業の必要性と目的の明確化、手段の合理性(実施内容の妥当性、予算執行の効率性)、事業の有効性について、必ずしも良い説明ばかりではなかった。そもそも被説明変数がはっきりしないと因果関係もはっきりしないが、必ずしも被説明変数を明確にしないまま施策の立案が行われ、比較も確認もできない、といった問題がある。
  • EBPMの定着までには、試行錯誤で510年かかるだろうが、徐々に進めていきたい。

次に上瀬氏が講演した。

  • 主要国では官民をあげてデータ活用の環境整備を進めている。政策形成へのデータ活用における世界的潮流として注目されるのがEBPMEvidence Based Policy Making)である。EBPMは、エビデンスを活用し、効果的・効率的な政策運営を目指すものである。政策の運営に必要なデータの適正な処理・活用方法やデータマネジメントを実施するためのノウハウ、環境整備が求められる。
  • 財源が限られているなかでEBPMの重要性は高まっている。いかにデータを行政に取り込めるか。許認可や価格設定に活用可能性がある。行政データをデータプラットフォームに取り込み、そこに正しいノウハウを充て国民に公開する。
  • Evidence」の定義だが、明確な定義はないが、「バイアスのない方法により得たデータをバイアスのない方法で分析して得られた結果」と正樹氏らが提案している。
  • 通常EBPMで根拠として活用されるのはランダム化比較実験の結果である。他に準実験も重視される。それ出来なければ多様なリアルデータも対象とし、ICTにより分析を洗練させることで、実験を越えた知見を目指すことになる。しかし、リアルデータ比較では実際の政策効果を評価するのはかなり難しく、バイアス、ノイズの影響をいかにミスリードしないようにできるかが重要になる。
  • 米国ははるかに進んでいる。データを集め利用する環境が整備されている。個人でもクレジットの信用スコアを簡単に知ることが出来るなど、良くも悪くもデータがプラットフォームとして整備されている。一方で個人情報保護などに問題もある。英国ではWhat Works Centreによる政策レビューが行われ、執行部隊とは別に客観的に評価するシステムが整っている。日本ではデータは十分に活用されていないし、データの公開も限られている。個人情報保護の難しさ、省庁間連携のなさ、縦割り行政などが影響している。WWCでは、評価の信憑性をレイティングしている。これは日本でも導入したいものだ。評価部隊が切磋琢磨する仕組みになるからだ。
  • 米国では、莫大なデータを共有し、活用できる仕組みがある。オバマ政権後半に特に強化された。成果をだせばメリットを還元し、うまくいかなければ次の施策に繋げるという形で各省の施策を競争させている。失敗したら怒られるだけでは職員のモチベーションを保てずうまくいかない。アメとムチのバランスが重要である。
  • 労働省が失業給付期間の最小化のためにEBPMを活用した事例がある。再就職支援プログラムとの連携で失業を押さえるとともに、失業給付期間の最小化にも効果がでた。
  • ニューヨーク市では犯罪防止への取り組みが行われている。全てがEBPMによる効果ではない(ジュリアーノ市長の過激な政策等のミックス効果)が、犯罪は目に見えて減少した。2:8の法則でやるべきことを順序づけ、最大の問題を特定し、高いパフォーマンスが得られるポイントに力を集中して解決するという手順が根付いてきている。
  • 英国では、既存のデータをまずはチェックする足りなければデータを集めるデータをクレンジングする施策を評価するその結果で次の施策を実施するというサイクルを動かしている。データには、時には心理学、行動経済学的観点も含まれる。
  • EBPMの有望領域として「人口減少」関連施策を提言したい。政策効果が上がる可能性が高い。EBPMの推進にはデータ連携基盤を如何に作るかが最大の課題である。そのほか、政府がEBPMをきちんと位置づけ、EBPMへの理解を促進する必要がある。

二つの講演の後、次のような話題について質疑が行われた。

現状の取り組みに関わる質疑

質問(Q):政策評価の対象としては何が有効なのか?
宮部回答(AM):まだ手探りでやっているのだが、行政の様々な意思決定に活用できそうだと感じている。これまで各国でEBPMが発展してきた分野の代表格は、労働・教育・医療。これらはデータを多く取れ、予算規模も大きかった。それがEBPMを発展させた要因になっていると思う。
上瀬回答(AK):政策上のプライオリティがあり、かつデータが取りやすいところから始めるしかない。費用、容易度、データクオリティ、インパクト等などを考えて試行錯誤することになるだろう。逆に、国策としてやらざるを得ないオリンピック整備などに適用しても効果は見込めないのでEBPMの対象とするのは不適当である。
コメント(C): JR東日本はEBPMを推進してきた。Suicaで旅客データを収集し、それをベースに新路線の開拓など様々な事業を進めて、ビジネスを成功させた。
AM:正にそう思う。民間は切迫感があり活用の意識がある。政府のデータを公開すると、民間マーケティングなどにも活用が考えられる。
Q:人材育成の必要性はよく分かるが、それをどの範囲にどのように行うか方針はあるのか?
AM:今進めているところで確定的なものはない。現在は使う側、作る側の育成の検討を進めている。基本的なリテラシーについては役人も国民も必要があると思う。IT教育については文科省も進めている。
QEBPM推進統括官はどのくらいの役職の人物を想定しているのか?
AM:上位の審議官クラスの役職者を想定している。
CCIOの時には各省官房長が指定されたが、忙しすぎて、結局民間のCIO補佐官に丸投げされている。そのようなことにならないようにしてほしい。
Q:講演の中にDataEvidenceではないという発言が出てきたが、それは本当に正しいのか?役所のdataについては、そもそも電子化されていないという問題がある。
AM:「データ=エビデンスではない」というのは「因果関係を示せないものはエビデンスではない」という意味である。紙のデータなどでも、有用なものは電子化を進める方針。最近は申請の電子化などでデータの入力から電子化が進められている。一方で電子申請を可能にしたが、利用が進まないものもある。ともかく、大企業に紙で届け出させるとかというのは止めさせたいと思う。 

将来像に関する質疑

QAIを活用するのはいいが、AIで答えが出てもロジックモデル自体、あるいはロジックモデルの善し悪しが分からない。そのようなものを使っていいかという問題がある。うまくいっているうちはよいが、いずれ問題になるのではないか?
AKAIを何に対して使うか、どこまで使うかというのは議論の余地はあると思う。
AM:説明責任があるので、その施策を採用する際のAIのロジックが不明であれば、役人が改めて考えることになると思う。
QEBPMを自治体に展開するつもりはないか?
AM:政府もこれからなので自治体に進めるようには言いづらいが、オープンデータについては法律上自治体も進めるように規定されている。直接何かをするように、というわけではないが、将来的には自治体にも広まっていくだろう。国が持っているデータを自治体に活用してもらい、自治体が持っているデータを加えて、さらに様々な分野で活用出来るようになるのではないか。
Q:自治体への展開に際し、ありがちなのはデータのフォーマットがバラバラになったり、ツールの二重投資になったりの懸念があると思う。展開にあたっては、中央省庁が音頭をとってフォーマットやツールを決めた方がいいと思うが、検討範囲に入っているか?
AM:内閣官房の方では標準化や定義について話をしているので、そこで議論になっているかもしれない。データ整備先行になるのか、活用マインドから始まるのか。マインド自体が足りていないという部分もある。データをどう繋ぐかという点については総務省の方で検討を進めている。
Q:政府の中でEBPMにトライアルしているが、データを出せば民間が勝手にやってくれることも十分考えられる。どこまでオープン化を展望しているのか?
AM:長期的には、民間開放が進んでいくと考えている。ガイドラインにより情報を出せるようにしたいと思う。アメリカでは、統計のサンプルファイルも多く提供されており、日本でもそのようなものを整備して増やせば、活用が進むと思う。特に地方でのデータ整備の推進も上げられているので整備は進められていくと思う。
Q:民にデータが行く場合には、そのとたんにデータ提供の価格が上がって、それがボトルネックになることが考えられる。そのようなことにならないようにしてほしいのだが?
AM:普通は特定の企業だけに出すということにはならないので安心して欲しい。 

最後に司会が次のようにまとめセミナーは終了した。

行政職員がデータを用いようと思うのが第一歩。その先でデータを説明できるようになる。そこまでいけば、アメリカや英国のようにデータに基づいて政策決定できるきっかけになる。

セミナー「情報通信技術を活用した新しい農業」

日時:7月25日火曜日18時30分から20時30分
場所:エムワイ貸会議室四谷三丁目 会議室B
東京メトロ四谷三丁目駅前、スーパー丸正6階
司会:山田 肇(ICPF理事長)
講師:角張 徹農林水産省大臣官房政策課技術政策室課長補佐 

角張氏の講演資料はこちらにあります。

冒頭、角張氏は概要次の通り講演した。

  • スマート農業に取り組む背景には担い手の減少や高齢化の進行等により労働力不足が深刻になっていることがある。果菜類や果実の収穫のように人手に頼る作業・選果のように多くの人手を要する作業・果樹の剪定やトラクターの操作など熟練を要する作業などの省力化や負担軽減が大きな課題である。
  • ICT、ロボット技術を活用し得、超省力・高品質生産を実現する新たな農業がスマート農業である。超省力・高品質生産を実現、作物の能力を最大限に発揮、きつい作業・危険な作業から解放、誰もが取り組みやすい農業を実現、消費者・実需者に安心と信頼を提供の五本柱で進めている。
  • 超省力・高品質生産を実現の分野では、GPS自動走行システム等の導入による農業機械の夜間走行・複数走行・自動走行等で作業能力の限界を打破する技術の開発を進めている。作物の能力を最大限に発揮の分野では、センシング技術や過去のデータに基づくきめ細やかな栽培や営農者の有益な知見との融合等により、農林水産物のポテンシャルを最大限に引き出し、多収・高品質生産を実現することが目標である。
  • きつい作業、危険な作業から解放の分野では、収穫物の積み下ろしなどの重労働をアシストスーツで軽労化するほか、除草ロボットなどにより作業を自動化しようとしている。誰もが取り組みやすい農業を実現の分野では、農業機械のアシスト装置により経験の浅いオペレーターでも高精度の作業が可能とり、また、ノウハウをデータ化することで若者等が農業に続々とトライするようになるというのが目標となっている。消費者・実需者に安心と信頼を提供の分野では、クラウドシステムにより、生産の詳しい情報を実需者や消費者にダイレクトにつなげ、安心と信頼を届けようとしている。
  • スマート農業の推進に向けた具体的施策では、単に技術を開発して終わるのではなく、新技術を普及させるための支援や環境づくりなどを推進している。施策は、①将来像や優先に取り組むべき課題の特定、②新たな技術の開発、現地実証、③新技術の普及、導入支援、④先進技術が導入できる環境づくりの四つのステップで構成されている。たとえば、ロボットやICTなどの技術開発企業とともに実際に開発技術のユーザーとなる農林漁業者にも参画してもらい、導入コスト等の明確な開発目標の下、効率的な技術開発及び現場実装を実施している。
  • 農機の自動走行については、「未来投資に向けた官民対話」で安倍総理大臣から「農業に最先端技術を導入します。2018年までに、ほ場内での農機の自動走行システムを市販化し、2020年までに遠隔監視で無人システムを実現できるよう、制度整備等を行ってまいります。」と発言いただいた。
  • スマート農業ではAI(人工知能)やIoTの活用をうたっているが、その先で農業におけるSociety5.0を実現しようとしている。データを駆使した戦略的な生産、生産・流通・販売の連携・効率化などが目標である。AIを活用した施設野菜収穫ロボット技術の開発、AIを活用した画像診断等により病害虫被害を最小化する技術などを開発している。
  • 様々な農業ICTサービスが生まれているものの、相互間連携がなく、データやサービスは個々で完結していることに加え、行政や研究機関等の公的データはバラバラに存在している状況にある。このため、農業ICTによりデータを駆使して生産性の向上や経営の改善に挑戦できる環境を生み出すため、農業データ連携基盤の構築がスタートしている。連携基盤は本年中に構築される。様々なデータを統合・分析できるようになり、収量や品質の向上が可能になると期待している。また、土壌、市況や気象等の公的データや、民間企業の様々な有償データ等を整備・提供することで、データを活用した新たなサービスの提供や農家の戦略的な経営判断が実現するだろう。
  • 農林水産省では、スマート農業の普及に向けてスマート農業フォーラムを開催し、また、北海道では北海道スマート農業フェアが開催され、営農者中心に約5000人が来場した。

講演の後、以下のような課題について議論が行われた。

スマート農業の効果について

Q(質問):スマート農業で省力化されるのは結構だが、苦労して作物を育てる喜びがなくなるのではないか。
A(回答):新規営農者は技術アドバイスが得られず苦労している。消費者に人気の有機農業だと、ますます苦労は多い。熟練の営農者の知識ノウハウを知的財産として新規営農者に伝えていく。
Q:ロボットが導入されて農業を効率化すると就農者が減少するという発想はないか。効率が3倍になれば農業人口は1/3で住むのではないか。
A:収穫作業などの単純労働はパートや海外からの実習生が担っている現状にあり、高齢化等によって労働力の確保が年々難しくなっている。単純労働をロボット化することを目指している。経営者としての農業者が成功するのがスマート農業の目標である。
Q:熟練技術を見える化して普及させた場合、同じようなトマトばかりにならないのか。
A:地域産品として市場に供給するためには地域でまとまった収量が必要である。産地ごとに知識ノウハウを共有して地域産品を育てるのであって、全国で同じようなトマトを出荷するわけではない。
Q:圃場における作物の生育に関する詳細な情報などは一種の個人情報ではないのか。
A:リモートセンシングは自らの圃場を管理するために用いるのが原則である。なお、収穫期には地域で協力するというような取り組みが存在するので、例えば、農協のリーダシップの下で、地域内で情報共有の合意を取って活用する取り組みなどにも活用されるのではと考えている。
Q:ICT活用の先兵として、植物工場をどう評価するか。
A:人工光・養液栽培・密閉型の植物工場は広まりつつある。しかし、一年間を通して需要を確保し続けるのは課題も残っている。植物工場で利用されている技術も取り入れ、次世代型施設園芸という植物工場一歩手前の技術を開発している。

農業データ連携基盤について

Q:農業データ連携というが、他省のデータも連携すべきではないか。
A:その通り。気象データなど多様からのデータも併せて提供していく必要があり、政府全体としての取り組みである。
Q:農業データ連携基盤の利用に資格はあるのか。もしないとすれば、海外に流出しないか。
A:ルールを策定中であり、ルールにあった人は参加できる。多くのデータから知恵をくみ取って、農業生産のアドバイスをする事業者なども利用できるようになるだろう。一方で、主要な情報は知的財産化して海外に流出しないように努める。

スマート農業の普及について

Q:スマート農業には大きな可能性があるが、若い人にこれを紹介して営農者を増やす努力が求められるのではないか。
A:その通り。農業高校、農業大学校などでもスマート農業を紹介している。また、すでに教科書にも採用されている。若い人が経営感覚を磨き、新技術を抵抗なく受け入れるようになることが目標である。
Q:スマート農業への関心に地域差はあるか。
A:農業が主要産業である北海道の関心は高い。一方、中山間地からは「そんなに大きな機械は入れられない」といった話が来る。そのため、中山間地で利用できる除草ロボットや低コスト化に向けた研究開発なども実施している。

農林水産行政全体との関係について

Q:食料自給率との関係は。
A:農林水産省は食料・農業・農村基本計画を定め、自給率を高めようとしている。その中に担い手への集中などのグランドデザインが書かれており、スマート農業はこの文脈の中に位置づけられている。
Q:林業や水産業での取り組みは。
A:林業では林業機械の自動化、育林・下草刈りの支援技術などが開発されている。水産業でも養殖場の網の自動清掃などの技術が開発中である。また、林業でも水産業でもアシストスーツの役割に期待がある。