協賛シンポジウム IoT ・AI時代の健康寿命延伸 橋本敬史厚生労働省政策企画官ほか

主催:株式会社国際社会経済研究所・アクセシビリティ研究会
後援:オランダ王国大使館
協賛:特定非営利活動法人情報通信政策フォーラム
開催日時:2017年3月21日(火) 14:00-17:00(13:30開場)
開催場所:日経カンファレンス&セミナールーム 大手町セミナールーム2
プログラムの概要
基調講演 吉田宏平総務省室長、橋本敬史厚生労働省政策企画官
特別講演 平尾勇松本市商工観光部部長
海外事例報告 遊間和子国際社会経済研究所主幹研究員
パネルディスカッション
山田肇 東洋大学 経済学部教授/アクセシビリティ研究会主査
川添高志  ケアプロ株式会社代表取締役社長
坂下哲也  一般財団法人日本情報経済社会推進協会常務理事
西田佳史  産業技術総合研究所人工知能研究センター首席研究員
平尾勇  松本市商工観光部部長(健康産業担当)
矢冨直美  東京大学高齢社会総合研究機構協力研究員/一般社団法人セカンドライフファクトリー代表理事

イベントの詳細記録は、講演資料なども含めて、国際社会経済研究所より公表されましたのでご覧ください。以下は簡単な記録で、文章の責任は山田肇にあります。

吉田氏:医療介護健康分野のICT化の意義は、ネットワーク化による関係者間の情報共有とデータの利活用の二点にある。しかし、地域医療圏でのEHRが全国総計で患者110万人しか収容していないなど、ICT化は進んでいない。今後、政府全体で取組を強化していく。
橋本氏:「データをつくる、つなげる、ひらく」との方針を掲げて、厚生労働省はICTを活用した次世代型保健医療システムの構築に動き出した。2020年を中間目標とする工程表を作成し作業を進めている。その中で医療等IDも実現していく方針である。
平尾氏:健康首都宣言をきっかけとしてオプトインで松本ヘルスラボという事業を始めた。これを全市に展開し、全市民を収容するオプトアウトの松本版PHRを構想している。包括ケアとの連携が最も重要である。個人情報の保護は必要だが、個人情報を利用することで高齢者の生活が支えられるという点にも理解を醸成しなければならない。
遊間氏:オランダでは民間の力を利用する形で、全国でのPHR構築に取り組んでいる。自身の医療記録にオンラインアクセスでき、血圧などを自己測定して医療サービス提供者と共有し、24時間医療サービス提供者と連絡できるなどを目標に、法を整備し、試験プロジェクトを実施している。
坂下氏:個々人が健康意識を高め行動変容を起こす、そのためにIoTを活用するようにヘルスケアIoTコンソーシアムを組織した。IoTデータの信頼度を高める、データの所有権について整理するなどの課題を解決してIoTを利用すれば、医療費の削減にも貢献する。IoTが取得した個人に紐づけされたデータの保護と活用のバランスが重要である。
西田氏:子供の発達の分散は小さいが、高齢者の老化は人さまざまである。これが対策をむずかしくしている。生活機能軸上で高齢者に関係する製品事故を整理して行動ライブラリを作成するといった研究を進めている。IoTやAIには高い可能性がある。
川添氏:訪問看護などアナログのサービスにICTを取り込むことには大きな可能性がある。ICT見守りなどが試みられてきたが、高齢者に接する「人と人の関係」についても相性をデータ解析して活用するといった利用方法が考えられる。
矢冨氏:高齢者の就労は健康維持に役立て、そのためにICTは利用されるが、どのような仕事が向いているかをAIが診断するというような側面でもICTの利用可能性は高い。
山田氏:IoTやAIには大きな可能性があり、それらを利用する過程で取得した個人情報は保護するだけでなく、活用するように仕組みを作っていくべきだ。今までは利用に躊躇してきたが、関係する政策を推進し、ビジネスを展開すべき転機に差し掛かっている。
クリストッフェルス氏(オランダ大使館):オランダも日本もIoTやAIを活用した製品やサービスを開発しており、医療分野での協力関係を深めていきたい。